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不動産オーナーさま向けコラム

アパートローンを借りる際に必要な事業計画書の作り方を解説

2024.01.01

賃貸アパート経営を始める際、自己資金だけで始める方は少なく、多くの方が金融機関のアパートローンを利用して資金を調達します。

 

アパートローンを申し込む際にはさまざまな書類の提出が必要ですが、特に重要なのが事業計画書です。

 

事業計画書は金融機関による融資の可否を判断するための重要な材料として用いられます。

 

このため、事業計画書の作成は綿密に進めなければいけません。

 

しかし、経験がない方にとっては難しく感じることでしょう。

 

本記事では、アパートローンの借入時に必要な事業計画書の作成方法を具体的に解説し、作成時の注意点や、有利な条件でアパートローンを借りるコツを紹介します。

 

アパートローンを利用して賃貸アパート経営を始めたいと考えている方は、参考にしてください。

アパートローンとは

初めて賃貸アパート経営を始める方なら、アパートローンのことをあまり知らない方も多いでしょう。

 

ここでは、アパートローンとはどのようなローンなのか、どこで借りることができるのか、といったことを解説します。

アパートローンとは

アパートローンは、多くの金融機関が提供するアパート・マンション経営専用の事業用のローン商品で、住宅ローンよりは金利が高く返済期間も短いです。

 

このローンは、賃貸アパート経営に関連するほとんどの費用に利用可能で、物件の購入や建築はもちろん、リフォームや既存ローンの借り換えにも使用できます。

 

ただし、住宅ローンとは異なり、自身や家族が居住する住宅の購入には利用できません。

アパートローンを扱う金融機関

金融機関によるアパートローンの扱いには、民間金融機関と公的金融機関があります。

 

民間金融機関で扱っているのは以下の通りです。

 

● 都市銀行
● 地方銀行
● 信用金庫
● 信用組合

 

一方、公的金融機関では、日本政策金融公庫や住宅金融支援機構などが対応しています。

 

一般的に、民間金融機関の商品やサービスは充実していますが、審査基準も厳格です。

 

ちなみに、投資用物件のローンには「プロパーローン」と「提携ローン」の2種類が存在します。

 

プロパーローンは金融機関のリスク負担で貸し出すローン(保証会社なしに独自に提供するローン)で、ローン額や使用目的などは柔軟に対応している商品です。

 

一方で、提携ローンは不動産会社やハウスメーカーが金融機関と提携しているローン商品で、審査基準もあまり厳しくありませんが、ある程度の基準設けられ、選択肢が限られていることがデメリットになります。

アパートローンの審査基準

アパートローンの審査をする場合には、主に以下の内容をチェックします。

 

● 契約者(借主)の属性
● 物件の収益性
● 物件の資産価値
● 収益シミュレーションの実現性

 

上記の情報を基準にして融資の有無が判断されます。

 

ちなみに、契約者の属性としては、以下のような項目をチェックします。

 

● 年収
● 勤務先
● 勤務年数
● 家族構成 など

 

上記の内容以外にも、各金融機関が重視するポイントもあるので、リサーチするようにしましょう。

アパートローンを借りるには事業計画が必要

アパートローンの申請をする際、金融機関は事前に事業計画書の提出を要求します。

 

では、アパートローンのための事業計画書とは具体的にどのようなものであり、なぜそれが必要なのでしょうか。

 

以下で詳しく説明するので参考にしてみてください。

事業計画書とは

事業計画書は、アパートローンの申請に際して提出が必須の文書であり、アパート経営に関する運営計画、収益増加戦略、資金調達と返済の詳細を包括的に述べたものです。

 

賃貸アパート事業のビジョンや目指すべき具体的な目標、それを実現するための実行計画が詳細に記載されています。

 

このように、事業計画書はアパート経営を成功させるためのロードマップとして機能し、経営者自身が事業の方向性を明確にするものですが、その用途はそれだけでなく、外部の投資家や金融機関に対してその事業の実現可能性を、説得力を持って伝えるための重要なツールでもあります。

事業計画書が必要な理由

事業計画書の提出は、アパートローンを提供する金融機関が貸付先の信用を評価するために不可欠です。

 

この計画書を通じて、金融機関は貸し付けた資金が計画通りに適切に運用され、かつ返済される確かな見込みがあるかどうかを判断します。

 

このため、賃貸アパート事業を開始するにあたり、投資対象となる物件が持続可能な収益を生み出すこと、そして借り入れた資金の返済が滞りなく行われることを、具体的な数値と計画によって示すことが必要です。

 

緻密な事業計画書は、金融機関に対する信頼を築き、資金調達の成功に直結します。したがって、事業計画書は単なる形式的な文書ではなく、資金調達過程における最も重要な要素の一つとして位置づけられています。

アパートローンを借りるための事業計画の作り方

事業計画書を作成する際は、直感的に理解しやすい形式であることが重要です。

 

以下に、効果的な事業計画書を作成するための要点を述べます。

パソコンを使って作成する

事業計画書はパソコンを使用して作成することが推奨されます。

 

例えば、データの使用が多いミュレーションにはエクセルが便利です。

 

また、物件の地図や写真を含む資料作りには、ワードやパワーポイントが適しています。

 

このように、視覚的に分かりやすい資料を作成するためには、パソコンの活用が欠かせません。

テンプレートを活用する

一から事業計画書を作成するのは手間と時間がかかるため、既存のテンプレートを利用することが有効です。

 

日本政策金融公庫などは、事業計画書のテンプレートを公開しており、これらを使用することで基本的な内容を網羅することができます。

 

さらに、計算式が含まれているテンプレートを使用すれば、データ入力によるシミュレーションも容易です。

事業計画書づくりに困ったときの対処法

事業計画書を一から作成する際、特に初心者はその構成や内容に関して戸惑うことが多いでしょう。

 

このような状況で不明瞭な点や困難に直面した場合は、金融機関の担当者、既に事業を運営している経験者、または不動産経営に精通している専門家に相談することをおすすめします。

 

効果的な事業計画書の作成に向けてのアドバイスをもらえるはずです。

 

また、市場調査や財務分析などの専門的な領域に関しては、経済コンサルタントや不動産アナリストとの協力も検討しましょう。

アパートローンを借りるための事業計画に記載する内容

事業計画書には、説得力を持たせるために、必要な項目を網羅的に含めることが重要です。

 

以下に、事業計画書に必須の項目と、その詳細を説明します。

計画している土地の概要

賃貸アパート経営を計画している土地に関する情報を詳細に記述します。

 

具体的に記載する内容は以下の通りです。

 

● 住所・地番
● 面積
● 法規制の有無
● 路線価
● 固定資産税評価額
● 売買価格

 

さらに、地図の画像や物件周辺の写真を添付することで、内容をより明確に伝えることができます。

計画している建物の概要

計画されている建物の概要を記載することも必要です。

 

記載する内容は以下になります。

 

● 設計
● 構造
● 戸数
● 各住戸の間取り
● 建設予定時期(竣工)
● 予定される建築費用

 

また、賃貸物件としての特性や市場での競争力を反映させるために、建築デザインや機能性に関する計画も含めます。

物件のコンセプト

対象市場の分析を基に、賃貸物件のコンセプトや市場での差別化戦略を策定します。

 

ターゲットとする顧客層、市場ニーズ、提供するサービスや設備のレベルなどを明確にし、その実現可能性を説明するのも重要です。

想定する家賃と相場

市場調査により得られたデータを基に、予定している家賃の設定を行います。

 

家賃設定は競争力がありながらも収益性を保証する水準であることが重要です。

総事業費

総事業費の記載も必要です。

 

土地購入費用、建築コスト、運営費用など、事業を開始し運営するために必要な総事業費用の見積もりを提示します。

資金計画

必要な事業資金に対して、どのように資金を調達し、その構成比をどのようにするかを計画します。

 

自己資金やローン、投資家からの出資など、資金源を明確にすることが必要です。

収支計画

賃料収入と必要な支出を予測し、年間の資金流動をシミュレーションする資料の作成が必要です。

 

これにより、アパート経営が実行可能であり、ローン返済が可能であることの証明となります。

アパート経営の収支計画の作り方

収支計画は事業計画書の肝になる資料で、収入と支出の内訳を記載します。

 

収入に記載する内容は主に以下の通りです。

 

● 家賃
● 共益費
● 管理費
● 礼金
● 更新料
● 駐車場代

 

上記以外にもすべての収入を入れておきましょう。

 

一方で、支出には以下の項目を記載します。

 

● アパートローンの返済
● 共用部の水・光熱費
● 税金
● 管理費
● 保険料
● 修繕費
● 広告費
● 更新事務手数料
● 長期修繕積立金

 

これで収入から支出を差し引いた収支を計算し、一年ごとのシミュレーションを行います。

 

また、家賃収入は満室の場合だけでなく、空室が出た場合も想定し、資金の手当てなども用意しておくことが必要です。

 

さらに、長期的には家賃が値下がりすることも見込んで計画書を作成すると、より現実的になります。

 

ちなみに、収支計画書はエクセルを使い、計算式を入れて作成するのがおすすめです。その際には収入と支出を漏れなく集計するようにしましょう。

事業計画作成で注意すべきポイント

くどいようですが、事業計画書の作成はそのプランの現実性と信頼性を、金融機関に示すために非常に重要です。

 

このため、作成する際は以下のポイントに注意して、実現可能性が高く信頼できる計画書の作成を目指しましょう。

楽観的な見込みを立てない

事業計画では、過度に楽観的な予測を立てないことが重要です。

 

アパート経営は常に安定しているわけではなく、社会の変化や災害リスクも考慮しなければなりません。

 

具体的には、空室率の上昇や大規模修繕が必要になる可能性を含めたリスクマネジメントを計画に組み込むようにしましょう。

 

楽観的な計画を立てすぎると、信用を失ってしまう可能性があるので注意してください。

客観的なデータや数値を記載する

金融機関が融資の判断を行う際には、主観や推測ではなく、客観的なデータに基づいた情報を重視します。

 

具体的には、市場調査の結果や統計データ、財務分析などです。

 

これらの具体的なデータや数値を用いて、事業計画の詳細を記述するようにしましょう。

 

ただし、事業計画書は、読む人が簡単に理解できるような明瞭な形式でなければなりません。

 

担当者が多数の計画書を検討する中で、複雑な内容や長すぎる説明は避けるべきです。

 

主要なポイントを簡潔に述べ、情報の可視化には表や図、写真などを利用して、直感的な理解を助けるよう工夫してください。

第三者にチェックしてもらう

計画書を金融機関に提出する前には、第三者による厳しいチェックが必要です。

 

誤字脱字や情報の漏れなど、作成者自身が見落としがちな点についての確認をしてもらうことで、質の高い文書に仕上げることができます。

 

業界の専門家、既に事業で成功を収めている人、税理士などのプロフェッショナルの意見を聞くことで、計画書の内容をさらに磨き上げることができるでしょう。

好条件でアパートローンを契約するコツ

事業計画書を完成させた後、次のステップは、有利な条件でアパートローンを獲得するための戦略を練ることです。

 

以下のコツを実践することで、より好条件でのローン契約を目指すことができます。

複数の金融機関で比較検討する

一つの金融機関だけに頼らず、複数の機関の条件を比較することが賢明です。

 

各金融機関は異なる金利や貸出条件を提示しているため、これらを丁寧に比較検討し、自身の事業計画や予算に最適なローン提供者を選びましょう。

 

複数のオプションを検討することで、交渉の余地が生まれ、最終的にはより良い条件でローンを組むことが可能になります。

優遇条件を確認する

金融機関や政府支援機関が提供する様々な優遇条件を調査し、これらを最大限に活用することが重要です。

 

提携している不動産会社や特定の事業者向けの特典、女性や若者、高齢者を対象とした特別融資制度など、自身が条件を満たしている場合は、これらの制度を利用することで、より低い金利や有利な返済条件を獲得できる可能性があります。

 

政策金融公庫のような公的機関をはじめ、地域に根ざした金融機関のプログラムにも注目し、自身の事業に適した支援を受けられないか検討しましょう。

まとめ

ここまで、アパートローンを借りるために必要な事業計画書について解説してきました。

 

事業計画書はローンの審査書類として重要ですが、自分がこれから取り組む事業の見込みを明確に認識するためにも非常に役立ちます。

 

賃貸アパート経営は大きな資金が必要であり、長期間にわたって運営されるものです。

 

安心して事業に取り組むためにも、しっかりとした事業計画を立てるようにしましょう。

この記事を書いた人

DAINICHI 編集部 不動産チーム

DAINICHI 編集部 不動産チームは社内外の有識者により構成されています。不動産の投資、管理、運用、リノベーション、売却、有効活用などの方法について、様々な視点から不動産に関する有益な情報をお伝えします。

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