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不動産オーナーさま向けコラム

人口減少がマンション・アパート経営に与える影響とは?注意点も徹底解説(賃貸経営)

2024.10.01

 少子化が進み人口が減少し続けている現状では、賃貸需要が減少して経営に影響が出るのではないかと不安を感じる方も多いかもしれません。

 

実際、人口減少は賃貸経営の環境に大きな変化をもたらしますが、そうした状況で今後どのように対応していけばよいのでしょうか。

 

本記事では、人口減少がもたらす影響に対する賃貸経営の考え方や戦略、具体的な対策などを詳しく解説します。

 

これからの賃貸経営に備えたい方は、ぜひ参考にしてください。

日本の人口減少の現状と未来

日本が直面する人口減少は大きな問題です。

 

日本のこれまでの人口推移と今後日本の人口がどうなると予想されているのかについて解説します。

これまでの人口の推移

1920年に約5,600万人だった日本の人口は右肩が上がりに増加を続け、1970年には1億人を超えるほど急激に増加しました。

 

特に、第二次ベビーブームの影響で1970年から1975年には7%の成長を記録しましたが、それ以降は徐々に増加ペースが落ちていきます。

 

そして、2004年12月の1億2784万人がピークとなり、その後は横ばい状態が続きました。

 

2008年には、国勢調査で初めて人口減少が確認され、日本は人口減少社会へと移行しています。

 

2024年8月の日本の人口の推定値は1億2385万人で、ピーク時と比べて20年間で400万人近く減少しており、今後も増加に転じるのは非常に困難とされています。

今後日本の人口は急激に減少

日本の人口は今後急速に減少し、2070年には総人口が9000万人を下回り、高齢化率は39%に達する見込みです。

 

2100年には、最悪のコースをたどれば人口が4000万人以下となる可能性も指摘されています。

 

特に生産年齢人口は2050年までに約3500万人減少し、若年層も約900万人減少する一方で、高齢者人口は約1200万人増加すると見込まれています。

 

この結果、高齢化率は約40%に達し、単独世帯が主流になるでしょう。

 

さらに、居住地域も減少し、国土の約5割に人が住んでいる現在から、2050年には約4割にまで縮小する可能性があります。

 

この急速な人口減少と高齢化は、経済や社会構造に大きな影響を与えることが避けられず、今後の政策や個人のライフプランにも大きな影響を及ぼすでしょう。

人口減少によるアパート経営のリスク

人口減少が進む中で、アパート経営者はさまざまなリスクに直面しています。

 

特に、空室率の上昇、賃料の低下、そして不動産価格の下落が深刻な問題となります。

 

これらのリスクにどう対応していくかが、安定した賃貸経営を維持するための重要なポイントです。

空室率上昇による収支の悪化

人口減少が進行する中で賃貸物件の需要は低下し、空室率の上昇が深刻な問題となると予想されます。

 

入居者が減少することで物件の競争が激化し、空室が長引く可能性も高まります。

 

空室率の上昇は収入減少を引き起こし、さらに、収入が減る中で物件の維持管理費用がかかり、経営の負担が増加するでしょう。

 

このため、収支計画を立てる際には、空室率を保守的に見積もり、現実的な収益予測を行うことが重要です。

 

収益を安定させるためには空室率のリスクを十分に考慮した経営判断が求められます。

賃料と不動産価格の下落

空室率が上昇すると、入居者確保のために賃料を下げざるを得なくなり、結果として賃貸物件の収益性が低下します。

 

特に人口減少が進む地域では、賃貸物件への需要が減少するため、入居者を得るために家賃を引き下げるケースが増えるでしょう。

 

賃料の下落は、物件の収益だけでなく、地域全体の不動産価値にも影響を及ぼします。

 

地価が下がれば、物件の資産価値も減少し、不動産価格の上昇を見込んだ投資はますます難しくなります。

 

このため、賃料収入を中心とした堅実な経営を行っていく必要があり、安定的な収入を得るための長期的な視点が重要です。

都市部と地方との格差拡大

人口減少は全国的な問題ですが、都市部と地方ではその影響に大きな差があります。

 

地方では人口減少が加速し、都市部と地方の不動産市場には大きな格差が生じているのです。

 

都市部は人口の減少が緩やかであり、再開発や商業施設の建設などにより賃貸需要が比較的安定していますが、地方では賃貸需要の低下が目立つのが実情です。

 

また、交通網や沿線の変化、大型商業施設の撤退なども地域ごとの賃貸需要に大きな影響を与えるため、エリア内でも需要にばらつきが生じ、より狭い範囲でも不動産価値に差が出ることがあります。

 

賃貸経営を行う際には、これらの動向を十分に考慮し、都市部や再開発の進む地域など、将来的な需要が期待できるエリアでの物件選定が重要です。

人口減少時代のアパート経営の考え方

人口減少が進行している時代においても、適切なアパート経営戦略に基づいて運営していけば、安定した収益を確保することが可能です。

 

重要なのは、需要があるターゲット層に適した物件を提供し、競争力がある物件を維持することです。

需要はなくならない

人口減少が進んでいるとはいえ、賃貸物件に対する需要が完全になくなるわけではありません。

 

特に都市部や交通の便が良く人気が高いエリアでは、単身者や高齢者を中心とした需要が安定しています。

 

単身者向けのコンパクトな住居や、高齢者向けのバリアフリー物件など、特定のニーズに応える物件を提供することで、安定した収益を見込むことができます。

 

また、社会の変化に対応して新しい需要層も生まれてくるため、こうした層に向けた対応も考えることも対策となるでしょう。

 

「人口減少時代だから何をしても無駄」と悲観的になるのではなく、必ず生きる道はあると前向きに考えることが何よりも重要です。

戦略的な取り組みが必要

人口減少時代にアパート経営で生き残っていくためには、戦略的なアプローチが不可欠です。

 

需要が毎年減少していくことを考えれば、これまでのやり方を続けていくだけでは、きびしい未来になることは避けられません。

 

単に物件を維持するだけではなく、物件の改修やリノベーションを行い、最新の設備やデザインを導入することで競争力を高める必要があります。

 

特に、近年では環境に配慮したカーボンニュートラルな家づくりは、これからの賃貸経営においても取り入れる必要がある考え方です。

 

長期的に安定した経営を目指すためには、社会の変化やターゲット層のニーズに応じた物件を提供し続けることが求められます。

変化に敏感になる

人口減少とともに、社会のニーズも変化しています。

 

特に人口構造の変容やライフスタイルの多様化に伴って、住居に求められる条件が変わってきています。

 

アパート経営者は、こうした変化に敏感になり、物件の仕様や提供するサービスを時代に合わせて柔軟に見直すことが重要です。

 

日々漫然とテレビや新聞を見ていてもこうした変化はつかめません。

 

自らのアパート経営の将来に危機感を持ち、情報に対するアンテナを常に立てておくようにしましょう。

人口減少時代のアパート経営戦略

人口減少が進む中でのアパート経営では、従来のやり方を維持するだけでは不十分です。

 

賃貸市場が変化する中で、適切なターゲット設定やエリア選定、物件の差別化を図ることが重要になります。

 

ここでは、具体的な経営戦略について解説します。

ターゲット戦略

人口減少時代ではありますが、世帯数は人口の減り方と比べてそれほど急速に減少しているわけではありません。

 

住宅は一世帯ごとに必要なものですので、ターゲットになる世帯のニーズを捉えていくことが重要です。

 

今後、増えていくことが予想されているのが単身者世帯や夫婦のみの世帯です。

 

この層に焦点を当てたワンルームや2LDKといったコンパクトな物件の需要が高まると予想されます。

 

また、高齢者世帯は確実に増加していきます。

 

バリアフリーや医療施設へのアクセスの良さを考慮した物件は、入居者を引き付けやすいでしょう。

 

さらに、外国人労働者の増加も見逃せません。少子高齢化で労働力不足は今後も続くでしょう。

 

そうした状況を補うため、外国人労働者の数は増加傾向にあり、この層をターゲットにした賃貸経営も効果的です。

 

多言語対応や文化的配慮がされている物件は、外国人入居者に選ばれるポイントになります。

エリア戦略

エリア選定はアパート経営を成功させる大きなポイントであり、特に人口減少が進む時代においては、将来の需要を見越したエリア選定が欠かせません。

 

交通の便が良く、商業施設が近くにあるエリア、再開発が進むエリアや、都市部へのアクセスが良好なエリアでは賃貸需要が高まり、安定した入居者を確保しやすくなります。

 

また、地方では、観光地やビジネス拠点の近くに物件を取得することで一定の需要を見込める状況です。

 

現在、国を挙げて観光に力を海外からの集客を進めており、今後もこうした支援は続くことが予想されます。

 

観光業の振興に伴う需要の増加を見込んで投資することも検討すると良いでしょう。

 

また、企業の工場や研究施設が集まる地域では、単身者や一時的な居住者向けに特化した物件を提供することで、安定した収益を得られるようになります。

 

エリア選定の際には、将来的な人口動態や再開発計画の有無をしっかりと確認し、地域ごとの特性に合わせた賃貸物件を提供することが重要です。

差別化戦略

需要が減少していく中で生き残るためには、他の物件との差別化が重要なポイントになります。

 

他の賃貸物件との違いを明確にすることで、入居者に選ばれる理由となるからです。

 

例えば、スマートホーム技術を導入した物件は、快適な住環境を提供するだけでなく、セキュリティ面でも優れており、特に若い世代に訴求力があります。

 

スマート照明やスマートロックなど、最新の技術を取り入れることで、物件の価値を高めることに繋がります。

 

また、環境に配慮したエコフレンドリーな設備を導入することは、今後ますます環境問題が取り上げられる中で、強力なアピールポイントです。

 

しっかりした断熱工事をしたり、太陽光発電システムや省エネ型の設備を導入したりすることで、電気代などのコスト削減できることだけでなく、環境への意識が高い入居者にアピールできます。

 

その他、物件のデザイン性や内装にもこだわることも、入居者の満足度アップにつながる条件です。

 

スタイリッシュなインテリアや、リノベーションによって魅力的な空間を作り出すことで、競争力を維持し、長期的な入居者確保につなげられるでしょう。

 

差別化戦略を成功させるためには、物件のコンセプトを明確にし、ターゲット層に合わせた付加価値を提供することが重要です。

人口減少が続く中でのアパート経営の注意点

人口減少時代のアパート経営においては、これまで以上に危機管理の意識が重要です。

 

収益を悪化させる空室リスクや賃料低下リスクに対応し、事前に備えを講じることで、経営を長期的に安定させましょう。

資金に余裕を持つ

人口減少の影響によって賃料が下がったり、空室が増加したりするリスクが高まるため、資金計画には余裕を持つ必要があります。

 

キャッシュフローがきびしい状態で修繕費や突発的な費用が発生すると、経営が立ち行かなくなるリスクがあります。

 

余裕を持った資金計画を立てることで、空室が続いた場合でも経営を安定させ、物件のメンテナンスを適切に行えるのです。

出口まで考えておく

アパート経営を行う際には、最終的な売却のタイミングや方法を考慮した「出口戦略」が重要です。

 

人口減少が進む地域では、物件の資産価値が将来的に低下するリスクが高いため、出口戦略をしっかりと立てることが重要になります。

 

適切なタイミングで物件を売却し、資産価値が大きく下がる前に利益を確保することが理想です。

 

また、物件を売却する際には、地域の不動産市場の動向を定期的に確認し、最も有利な条件で売却できるよう準備を進めておきましょう。

空室を見込んだ実質利回りで考える

物件の収益を考える際には、楽観的なシナリオではなく、空室を見込んだ保守的な実質利回りで計算することが必要です。

 

人口減少に伴い、一定の空室が発生することは避けられないため、空室リスクを織り込んだ計画を立てて現実的な経営を心掛けましょう。

エリア選びが何よりも重要

エリア選定は、賃貸経営における成功の鍵です。

 

人口減少が進む地域では賃貸需要が著しく減少する可能性があるため、より慎重にエリアを選ぶ必要があります。

 

特に地方では、人口減少のペースが速いため、将来的な需要動向をしっかりと調査することが不可欠です。

まとめ

出生率を高めようと政府や自治体によって様々な政策が実施されてはいますが、日本の人口減少は止まらない可能性が高いでしょう。

 

不動産経営においては人口減少を前提に戦略を立てることが必要です。 

 

こうした社会においてアパート・マンション経営はリスクが高いと考える方もいますが、戦略的で堅実な経営を心がければ人口減少の影響は最小限に抑えられます。

 

ターゲットを見極め、今後の成長が見込まれるエリアで、ニーズに対応して差別化を意識することで、安定した賃貸経営を続けていけます。

 

これからも生き残っていくためには、常に社会の変化に対応していかなければなりません。

この記事を書いた人

DAINICHI 編集部 不動産チーム

DAINICHI 編集部 不動産チームは社内外の有識者により構成されています。不動産の投資、管理、運用、リノベーション、売却、有効活用などの方法について、様々な視点から不動産に関する有益な情報をお伝えします。

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