アパート経営で規模を拡大してもいいタイミングとは?手順も解説
アパート・マンションを経営している方の中には、1棟目の経営が安定したことで2棟目の購入を検討している方も少なくありません。
しかし、経営が安定しているからと言って安易に規模を拡大すると、思わぬ落とし穴が待ち構えていることがあります。
そのため、この記事では賃貸経営で規模を拡大してもいいタイミングや、必要な準備について詳しく解説していきます。
アパート・マンション経営で規模の拡大を検討している方は、参考にしてみてください。
アパート・マンション経営で規模を拡大してもいいタイミング
マンション・アパート経営で規模を拡大してもいいタイミングは人によって異なりますが、規模拡大に成功するためには、自身にとって最適なタイミングを把握しておくことが重要です。
賃貸経営で規模拡大をしてもいい4つのタイミングについて紹介しましょう。
マンション・アパート経営の知識とノウハウが身に付いている
規模拡大を試みるなら賃貸経営の知識とノウハウが身に付いている必要があります。
経営しているアパート・マンションが1棟から2棟に増えると管理や経理などの業務が増えるため、空室や入居者トラブルなどのリスク対策がより重要になるためです。
不動産の管理業務などは管理会社に任せることができますが、どの空室対策やリフォームを実施するかなどの決断を下さなくてはいけません。
当然、知識やノウハウを持っていないと最適な判断はできないでしょう。
このように、経営する賃貸物件が増えることで業務や決断を行う機会も増えるため、規模を拡大する前に賃貸経営の知識とノウハウを身につけておく必要があります。
1棟目の経営状況に問題がない
そもそも最初に投資した1棟目のアパート・マンションの経営状況が安定していないと、規模を拡大しても失敗する可能性が高いです。
1棟目のアパート・マンションの経営状態が安定しておらず赤字の状態で2棟目を購入しても、資金不足になってしまいローンを滞納するリスクが高くなってしまいます。
まずは1棟目の賃貸経営を安定させてから、規模の拡大を検討するようにしてください。
また、1棟目の経営が安定していないと金融機関の融資が受けづらくなってしまうため、そもそも規模の拡大ができない可能性も高いです。
自己資金を確保できている
アパート・マンションの規模を拡大するなら自己資金に余裕があることも重要です。
自己資金が十分にあるとローンの頭金を多く用意することができるため、借入金を減額できて、融資審査も通りやすくなります。
また、資金に余裕があると経営しているアパート・マンションで空室が続いた場合でも、資金不足になりにくく、借入金の返済ができないという事態に陥ることも防ぐことが可能です。
規模を拡大して経営に失敗しないためにも、自己資金を十分に確保してから2棟目の物件を購入するようにしたいところです。
マンション・アパートローンの金利が低い
賃貸経営はローンの金利が低いタイミングで規模を拡大するのもおすすめです。
ローンの金利は融資を受けるタイミングによって異なっており、市場金利が下がっているタイミングで融資を受けることで金利負担が軽減できるためです。
金利負担が軽減できるとローンの返済総額を減らせるため、今後、金利が下がったタイミングがあれば、規模拡大を検討してみるといいでしょう。(昨今の金利は上昇傾向ですが・・・)
アパート・マンション経営の規模を拡大する前に確認するべきこと
マンション・アパート経営の規模の拡大を検討しているなら事前に確認しておくべきポイントがいくつかあります。
ポイントを押さえておかないと失敗するリスクが高くなるため、賃貸経営の規模を拡大する前にこれから紹介する内容を確認するようにしましょう。
拡大の目的と目標
まずはマンション・アパート経営を拡大する目的と目標を明確にしましょう。
例えば、「収益を増やしたい」という目的で規模の拡大を検討していたとしても、得たい収益が明確になっていないと物件の選定に難航する可能性が高いです。
物件の選定や綿密な資金計画を立てるためにも、目的や目標を明確にしてから賃貸経営の規模拡大を検討するようにしてください。
資産状況
マンション・アパート経営の拡大をする前に自身の資産がどのような状況であるのかを確認しましょう。
資金状況が正確に把握できていないと綿密な資金計画が立てられないためです。
また、自己資金に余裕がないと修繕費が不足したり、空室が続いた際にローンが返済できなくなる可能性もあります。
このため、規模の拡大のために回せる資金がいくらなのかを正確に把握するようにしましょう。
・現金や有価証券がいくらあるのか
・担保となる不動産はあるのか
・借入などの負債はあるのか
賃貸経営の規模の拡大を実行に移す前に上記の項目を確認するようにしてください。
1棟目の経営状況
1棟目の経営状況を確認することもマンション・アパート経営の規模の拡大を実行する前に重要なポイントです。
経営状況が良い場合は問題ありませんが、経営状況が悪いと資金的な余裕がなくなったり、融資が受けられなかったりする可能性があります。
1棟目の経営状態が安定していない場合は無理に規模の拡大をしようとせずに、1棟目の経営状況が安定してから2棟目の購入を検討しましょう。
マンション・アパート経営の規模を拡大する手順
マンション・アパート経営の規模を拡大する手順は以下のとおりです。
1.資金計画を立てる
2.購入する不動産を決める
3.金融機関から融資を受ける
4.税金対策を行う
上記の手順について詳しく解説していくので内容を確認してください。
資金計画を立てる
マンション・アパート経営の規模の拡大ができるのか判断が付いたら、まずは資金計画を立てる必要があります。
資金計画を立てることで2棟目の物件購入後も手元に資金を残しておくことが可能になるためです。
実際、賃貸経営には物件や設備の修繕、税金などのさまざまな資金が必要になるため、2棟目購入後もある程度は手元に資金が残るようにしておきましょう。
手元に資金がないとローンが返済できなくなったり、1棟目の修繕費が捻出できなくなったりする可能性が高いです。
このような事態に陥らないためにも、必ず資金計画を立てるようにしてください。
購入する物件を決める
資金計画を立てるなかで2棟目のアパート・マンションに利用できる資金が把握できたら物件を探します。
物件の選定基準は1棟目と同様に安定して経営できる物件なのかが重要です。
例えば、価格が安いという理由だけで物件を選んでしまうと、立地が悪かったり将来的な人口減による賃貸需要が減退するエリアだったりと、空室のリスクが高くなってしまいます。
また、築年数から古すぎると、購入後数年で大規模修繕が必要になる物件である可能性が高いため、安易に決めるのではなく、しっかりとした基準を持って物件を選定するようにしましょう。
ちなみに、物件を選定する際にポイントとしては以下のような項目が挙げられます。
・駅近など利便性が高く賃貸需要が期待できる立地にあるのか
・新耐震基準に適合している物件であるのか
・他の物件と差別化できるのか
・予算に見合った物件であるのか
上記のポイントを参考により良い物件を選ぶようにしましょう。
金融機関から融資を受ける
購入する物件が決まったらマンション・アパートローンを申し込み、金融機関から融資を受けます。
審査内容は購入する予定の物件や個人のことだけでなく1棟目の経営状況も審査対象です。
主に以下のとおりです。
・年齢
・年収
・勤務先
・返済負担率
・1棟目の経営状況
・担保の有無
・購入する物件の収益性
経営状況が悪いと融資しても資金が回収できる可能性が低いと判断され、融資審査に落ちてしまう可能性があるため、1棟目の経営が安定してから2棟目を検討するようにしてください。
なお、融資の審査が通らない場合は、自己資金を増額することで審査に通る可能性があります。
1棟目の経営が安定しているなど条件がある程度整っているにもかかわらず融資審査に落ちる場合は、自己資金を確保してから再度融資審査を受けてみてください。
税金対策を行う
アパート・マンションを購入したら、税金対策について考えておく必要があります。
経営するアパート・マンションが増えると所得が増え、税金の負担が大きくなるため、
規模を拡大するなら税金対策は必要不可欠と言えるでしょう。
例えば、減価償却費を利用して所得を下げるといった税金対策が有効です。
また、経営するアパート・マンションが増えることで計上できる経費も多くなるため、それらをしっかりと計上することも重要になります。
なお、マンション・アパート経営で利用できる税金対策は以下の記事で解説しているので参考にしてみてください。
アパート・マンション経営の規模を拡大するときのポイント
マンション・アパート経営の規模を拡大する際は、重要な3つのポイントについて理解しておく必要があります。
理解しておくことで賃貸経営に失敗するリスクを軽減することができるので、しっかりと確認しておいてください。
1棟目と違うエリアの物件を選ぶ
購入する2棟目のアパートはポートフォリオの観点からも1棟目と違うエリアの物件を選ぶことが重要です。
1軒目と同じエリアの場合、不慮の事故や大災害の際に同じように被害を受けてしまう可能性があるためです。
例えば、同じエリアにあることで両方の物件が一度で同じ災害に巻き込まれてしまうかもしれません。
仮にそのような事態に巻き込まれると修繕費が2棟分必要となってしまいます。
また、住民が住めない状況になってしまうと家賃収入も損なわれます。
同じエリアに物件があると、災害や火事などのリスクが高くなってしまうため、リスクを軽減するためにも、エリアを分散するようにしてください。
1棟目とは異なる築年数の物件を選ぶ
2棟目のアパート・マンションは1棟目と異なる築年数の物件を選ぶようにしましょう。
築年が異なる物件を購入することで定期メンテナンスの時期や大規模修繕の時期をずらすことができるためです。
築年数が近いと立て続けに大規模修繕を行うことになり、多額の修繕費を一度に支払う事態になりかねません。
そうなると金銭的負担が大きくなり、資金不足に陥ってしまう可能性もあります。
したがって、出費の時期を分散して安定した経営を行うためにも、1棟目と異なる築年数の物件を選ぶようにしましょう。
ただし、資金的に余裕があり優良な物件が見つかった場合は、築年数が近い物件を購入しても問題ありません。
同じ時期に大規模修繕が必要になったとしても、資金繰りが悪化する可能性が無いのであれば、経営が安定する優良物件の購入を優先するといいでしょう。
尚、アパート・マンションの大規模修繕は、10~15年に1回という頻度で行われます。
築年数が10年を超える物件を購入する際は大規模修繕の有無も確認しておくようにしてください。
信頼できる管理会社を選ぶ
マンション・アパート経営に成功するためには、管理会社の選定も重要になります。
信頼できる管理会社に運営を任せることで入居率を維持・向上できるよう適切に管理してくれるためです。
また、トラブルの対応を行なってくれるため、管理の手間も大幅に省くこともできます。
賃貸経営に成功したいなら、信頼できる管理会社を探すようにしてください。
ちなみに、2棟目の物件も1棟目の管理会社に依頼できる場合は、その会社に依頼すると良いでしょう。
1棟目で仕事ぶりも分かっているため安心して任せられるうえに、他の管理会社を選定したり打ち合わせの手間を省くことができるためです。
とはいえ、1棟目のアパート・マンションから離れた場所に物件があるなど、他の会社を探さなければならないケースもあるでしょう。
そういったケースでは、管理会社の実績を確認して実績豊富な会社に依頼するのをおすすめします。
まとめ
アパート・マンションの1棟目の経営が安定し、自己資金が確保できている場合は、規模拡大を検討してみてもいいでしょう。
ただし、タイミングがよくても物件の選定方法などのポイントを理解しておかないと、規模の拡大後に失敗するリスクが高くなってしまいます。
そのため、この記事では賃貸経営で規模を拡大してもいいタイミングや、必要な準備、拡大するときのポイントについて解説してきました。
アパート・マンション経営の規模を拡大しようと検討しているオーナーの方はこの記事を参考にしてみてください。
関連記事こちらの記事も合わせてどうぞ。
2024.10.15
アパート経営を始める際に必要な申請を解説(賃貸経営)
2024.10.01
人口減少がマンション・アパート経営に与える影響とは?注意点も徹底解説(賃貸経営)
2024.08.15