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不動産オーナーさま向けコラム

不動産投資でサブリースは有効?メリット・デメリットと注意すべきリスクについて解説

2022.01.15

不動産投資における物件の運用方法には、通常の賃貸運用に加えてサブリースという方法もあります。サブリースは収入の安定化や空室リスクの排除などについて有効な方法ですが、利用にあたっては契約内容など気を付けるべきポイントがあるのも事実です。

 

この記事では、サブリースの仕組みやメリットに加えて、注意すべきリスクなどについて解説します。

不動産投資におけるサブリースの仕組み

通常の賃貸運用では物件オーナーが入居者と賃貸借契約を結ぶことで家賃収入を得ますが、サブリースを利用すると物件オーナーは不動産会社へ物件を賃貸することになります。サブリースの場合は、物件オーナーは不動産会社とサブリース契約を結ぶのみで、入居者との賃貸借契約は不要です。

 

不動産会社は入居者に転貸することで家賃収入を得て、オーナーには保証賃料を支払います。契約期間中であれば保証賃料は入居者の有無を問わず支払われるため、オーナーは安心して不動産投資を継続可能です。

サブリースのメリット

サブリースを利用すると物件オーナーにとってどのようなメリットがあるのか解説します。主なメリットは空室リスクの排除と手間や費用を削減できることです。

 

空室リスクを排除して収入の安定化が可能

不動産投資においてサブリースのサービスを利用する最大のメリットは、空室リスクを排除できることです。空室リスクとは、入居者が入らず運用上の赤字が発生するリスクのことを指しています。不動産投資においては入居者が入らないと家賃収入は入ってきませんが、固定資産税などの税金や賃貸管理費(建物清掃・設備点検・その他)などの各種経費は入居者の有無にかかわらず支払いが必要です。

 

そのほか、空室期間が長引くと入居者募集にかかる広告料や、仲介手数料などの費用もかさんでいきます。

 

ローンを利用して投資用物件を購入した場合などは、空室を原因として返済が滞ることもあるので、空室リスクは最もケアすべきリスクと言えます。入居者の有無にかかわらず収入が入ってくるサブリースは、不動産投資のリスクヘッジを優先したい場合に有効です。

 

管理や意思決定の手間を省ける

サブリースを利用すると、家賃の設定や入居者募集の手続きなどは全て不動産会社が行うことになります。通常の運用では、募集家賃の設定や入居者との賃貸借契約などはオーナーとしての対応が必要となることが多くなります。

 

サブリースを利用すると手間が大幅に減るため、サラリーマン大家の方など本業で忙しくしている方にとっては、サブリースは非常に有効な運用方法と言えます。

 

入居者の入れ替えにかかる費用を削減できる

不動産投資においては、入居者が入れ替わる際に原状回復と呼ばれる工事が必要です。例えば壁紙の張替え・フローリングのワックスがけ・水回りの清掃など、新しい入居者を募集するにあたってきれいにする必要がある箇所について、更新・清掃を行います。

 

通常の賃貸運用では、原状回復についてもオーナーの費用負担が必要です。しかし、サブリース契約の場合は、契約内容によっては、原状回復の費用を部分的に不動産会社が負担することもあります。必要経費を減らして収益性を上げられるのは、サブリースを利用するメリットです。

 

確定申告の手間を削減できる

不動産投資で利益が発生した場合または節税をするためには確定申告が必要です。不動産投資の収支をまとめる上では、発生した修繕費や入居者募集時の広告費用など、様々な経費を仕分けする手間がかかります。

 

しかし、サブリースを利用する場合は、不動産会社が上記の費用を負担することになるため、投資家は支出する必要がありません。結果的に、確定申告で経費を仕分けする手間の削減が可能となります。

 

投資規模がそれほど大きくなければ、税理士の手を借りずに投資家自ら確定申告することもできるでしょう。税理士のサービスを利用しなければ、税理士費用などを削減可能です。

 

相続税対策としても有効

サブリースの利用は相続税対策としても役立ちます。税務署が相続税を決める上では、保有している資産の評価額が算出されます。

 

投資用不動産の場合は、人に貸していると建物や設備などが劣化して資産価値が低いとみなされるため、稼働率の低い物件は高い物件と比較して高額に評価されるものです。

 

つまり、通常の賃貸運用をしている場合は、空室率に応じて相続税評価額も上がってしまいます。その一方で、サブリースを利用している場合は、全室を通年で不動産会社へ賃貸することになるため、満室経営とみなされます。

 

サブリースを利用すれば、相続税評価額を下げることで相続税対策とすることも可能です。

サブリースのデメリット

サブリースは収入の安定化に大きく寄与しますが、良いことばかりではありません。収入は比較的少なくなることや、サブリースの要否や適性に関する事前の検証を要することなどをおさえておく必要があります。

 

通常の賃貸運用よりも収益が少ない

サブリースを利用する最大のデメリットは、通常の賃貸運用よりも入ってくる収入が少なくなる点にあります。

 

サブリースで保証される家賃は実際の募集家賃よりも10%~20%程度低いことも多く、サブリースを利用しても税金などは支払う必要があります。結果的に通常の賃貸運用と比較して収益が減ることもあるため、サブリースの利用を検討する時には、空室リスクとのバランスを考えることが必要です。

 

設備更新などの費用は負担しなければならない

サブリースを利用すると、原状回復などの費用は条件次第では負担を軽減させることはできますが、例えばエアコンや給湯器など室内設備が故障した場合などはオーナーによる費用負担が必要です。室内設備の中には交換に数十万円単位の金額がかかるものもあります。

 

サブリースを利用しても費用負担が全てなくなるわけではないので、設備の更新時期などを把握しておくことが必要です。設備の値段は減価償却費の計上を利用した節税などにも関係するため、時期と金額の目安を把握しておくと収支計画を立てる上で役立ちます。

 

物件の立地によってはサブリースが適さない場合もある

運用の手間や細かい経費の削減などサブリースのメリットは複数ありますが、すでに解説した通り、最大のメリットは空室リスクを排除できることです。このため、そもそも空室リスクがそれほど大きくないと思われる物件では、サブリースが適していない場合もあります。

 

空室リスクがそれほど大きくない物件とは、例えば駅近など立地が良い物件です。なかでも快速電車の停車駅やターミナル駅などが最寄りで徒歩10分以内などの立地であれば、空室リスクはそれほど大きくないと判断できる場合もあります。

 

不動産投資における物件選びで最も重要なポイントは立地であり、建物が古くても立地が良いため入居者募集に困らないというケースはめずらしくありません。

 

そもそも立地が良くない物件では、サブリースを利用しても不動産会社が入居者を入れられず、結果的に中途解約や保証額の減額を求められる場合も多いものです。不動産会社がサブリースのサービスで収益を得る構造から、入居者が入らない物件ではサブリースが成立しません。

 

サブリースの利用を検討する場合は、排除できる空室リスクの大きさと目減りする収益とのバランスを考えることが重要になります。

注意すべきサブリースのリスク

不動産投資においてサブリースの利用を検討する上では、保証額の継続性と解約の可否について確認することが重要です。不動産会社から提供される重要事項説明書やサブリースの契約書については、必ず内容を理解しておく必要があります。

 

大半の場合は保証額が減額されていく

Webで不動産投資のサブリースにまつわるトラブルを検索すると、多くの事例がヒットします。失敗談の多くは、30年など長期間にわたって収入が保証されると聞いていたのに、途中で解約を迫られたり保証額を減額されたりというものです。

 

不動産投資においては、物件の築年数が経過するとともに家賃は下がっていきます。新築もしくは築浅の段階から長期間家賃を維持できるのは、よほど立地が良い物件に限られているのが現実です。

 

家賃が下がると、不動産会社は収益を維持するためオーナーへ支払う保証家賃を下げざるを得ません。最初に説明がなかったにも関わらず、突然解約や減額の依頼があったというのがトラブルの原因です。

 

サブリースの利用を検討する場合には、収入はいずれ下がるものという前提を認識するとともに、10年以上など長期間の契約は結ばずに、適宜継続の有無について検討することなどが必要になります。

 

オーナー側からの中途解約は難しい

サブリースのトラブルとして多いもう1つのケースに、不動産会社側からは一方的な解約や減額が可能な一方で、オーナー側からは契約の中途解約ができないというものがあります。

 

これは、オーナーが物件を不動産会社に貸し出すという、サブリース契約の仕組みから来ているものです。不動産会社はオーナーから借りた物件を、オーナーの同意のもと転貸するということになります。

 

不動産会社はオーナーに対しては借地借家法上の借主と判断されるうえに、借地借家法は借主を保護する傾向が強いものです。このため、保証賃料を減額されて想定通りの収益が上がらないからなどの理由では、オーナー側からサブリース契約を解約できないと判断されます。

 

そのほか、オーナー側から中途解約する場合は、解約手数料がかかるケースも少なくありません。2021年11月時点では法規制が整備されたため、保証賃料値下げの可能性や解約手続きなどについて、不動産会社はオーナーへ説明する義務を負うこととなりました。

 

トラブル発生の可能性は小さくなっていますが、解約などにまつわるリスクについてはあらかじめ把握しておくことが重要です。

まとめ

サブリースは賃貸管理の手間を削減でき、空室リスクや相続対策にもなる有効な運用方法です。

 

しかし、運用している物件はサブリースが最適なのか、不動産会社が保証する収入は周辺相場と照合して適切なのかなど、利用を検討する時には様々な事前確認が重要です。そのほか、後々のトラブルを避けるためには中途解約の可否や解約違約金の有無などについて把握する必要があります。

この記事を書いた人

DAINICHI 編集部 不動産チーム

DAINICHI 編集部 不動産チームは社内外の有識者により構成されています。不動産の投資、管理、運用、リノベーション、売却、有効活用などの方法について、様々な視点から不動産に関する有益な情報をお伝えします。

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