アパート・マンション経営に役立つ資格とは8選!
アパート・マンション経営をしている方やこれから経営するという方の中には、「アパート・マンション経営に役立つ資格を取得したい」と考えている方が増えてきています。
実際、アパート・マンション経営は多額の資金を動かす必要があり、失敗しないように身に付けておかなければならない知識も多いため、上記のように考えるのも無理はありません。
しかし、ひとことに不動産関連の資格といっても多数あり、「どの資格を取得すれば良いのか分からない」と悩んでいる方が多いのも実情です。
そのため、本記事では、アパート・マンション経営に役立つ資格を8つ紹介します。
資格取得を検討している方は、本記事を参考にしてみてください。
アパート・マンション経営に資格は必須ではない
資金を調達さえできれば、アパート・マンション経営は可能ですが、安定して経営するためには、さまざまな知識が必要なるため、資格は持っておくに越したことはありません。
例えば、マンション管理士の資格を持っていると、入居者のトラブル対応をスムーズに解決することも可能となります。
アパート・マンション経営で資格は必須ではないものの、取得しておくメリットが多いことを理解しておきましょう。
アパート・マンションで役立つ資格
アパート・マンションで役立つ資格を以下の表にまとめました。
資格 | 身に付く知識 |
---|---|
宅地建物取引士 | 物件を購入する際の注意点など不動産取引に関する知識 |
マンション管理士 | マンションやアパートを経営していく際のトラブルや大規模修繕の計画などのマンション管理に関する知識 |
不動産実務検定 | 賃貸経営において必要な幅広い知識(税金、リフォームなど) |
管理業務主任者 | マンション経営に関する知識や、マンション管理適正化法などの法律の知識、建物や設備についての知識 |
住宅診断士(ホームインスペクター) | 建物の調査や診断、建築基準法などの知識 |
賃貸不動産経営管理士 | 建物管理・空室対策・節税対策についての知識 |
不動産鑑定士 | 不動産資産の正確な価値を把握するための知識 |
ファイナンシャルプランナー | 賃貸経営の収支計画や相続、税金などお金に関する知識 |
上記の8つの資格について解説していくので、アパート・マンション経営を行う上で取得したい資格の参考にしてみてください。
宅地建物取引士
アパート・マンション経営を始めるにあたり、不動産の売買などの取引をする方におすすめしたい資格が「宅地建物取引士」です。
不動産取引時の「重要事項説明」や「重要事項説明書への記名・押印」などの業務は、宅地建物取引士しか行うことができないと法律で定められているほど専門性の高い資格になります。
このため、アパートやマンションを経営するにあたり、宅地建物取引士の資格を取得できるほどの知識があれば、物件を購入する際の注意点がわかり、購入する物件に問題がないのかを判断することが可能です。
また、不動産会社の説明に不備がないのかも判断できるため、信頼できる業者かどうかを判断するのにも役立ちます。
したがって、将来的に経営する不動産の数を増やして、事業の拡大を検討している方は、取得することをおすすめします。
ただし、宅地建物取引士の資格試験の合格率は、15〜17%程度になります。
半年〜1年程度はしっかりと勉強する必要があるので、取得を考える方は勉強時間を確保したうえで、試験に臨むようにしてください。
マンション管理士
マンション管理士は、国家資格にあたり、マンションの維持や管理のアドバイスをコンサルタントできる資格になります。
このため、資格を取得する勉強をする中で、マンションに関係する法令や判例、マンションの構造や設備などの診断、調査などの実践的な内容を学ぶことが可能です。
つまり、マンション管理士は、マンションやアパートを経営していく際のトラブルや大規模修繕の計画についての知識が得られるため、経営において非常に有益な資格と言えます。
なお、マンション管理士の資格試験の難易度は、宅地建物取引士よりも少し高いと言われており、実際合格率も「7〜9%」程度と宅地建物取引士よりも低いです。
宅地建物取引士と同様かそれ以上に、勉強時間を確保しなければ合格できない可能性が高いです。
不動産実務検定
「大家検定」とも言われている不動産実務検定は、一般財団法人である日本不動産コミュニティーが運営する民間資格です。
健全なマンションやアパートなどの経営を実現したいオーナーさんや、不動産投資を検討している方に対して、高度なコンサルティング技能と不動産運用にまつわる実践知識を体系的に網羅した、不動産投資専門の資格になります。
ちなみに、出題される分野は以下です。
内容 | |
---|---|
不動産実務検定2級 | ・人口動態、需要予測 ・不動産税務(減価償却、青色申告、法人化など) ・不動産投資におけるファイナンス ・満室経営のための実務 ・管理委託契約、賃貸借契約 ・リフォーム |
不動産実務検定1級 | ・不動産投資の戦略(調査、事業収支計画の策定など) ・建築基準法や民法の知識 ・不動産に関わる税金(節税、消費税など) ・不動産投資におけるファイナンス ・不動産投資の実践的なやり方 |
不動産実務検定マスター | ・不動産投資(借地投資・土地区画整理事業) ・税務(譲渡課税・贈与税・相続税) ・土地活用のコンサルティング(メリット・デメリット) ・建築関連法規に関する基礎知識 ・企画書の作成 ・建築施工に関する基礎知識 ・建築計画に関する知識 ・信託・成年後見・リバースモーゲージ賃貸経営において必要な幅広い知識(税金、リフォームなど) |
出典:日本不動産コミュニティー:不動産実務検定2級認定講座、日本不動産コミュニティー:不動産実務検定1級認定講座、日本不動産コミュニティー:不動産実務検定マスター認定講座
上記のように、マンションやアパート経営において必要な知識を幅広く取得できる資格です。
例えば、税務の知識はアパート・マンション経営において必要不可欠な知識であるため、不動産実務検定を受けるために勉強した知識は無駄にはなりません。
実際、資格を取得した方の中には、「不動産投資に必要な知識の抜け漏れを防ぐために役立つ知識」であるという意見もあり、マンションやアパート経営についての知識を、自分で勉強しているだけでは不安という方は、不動産実務検定の資格を取得することをおすすめします。
なお、不動産実務検定の合格率は宅地建物取引士やマンション管理士と比較すると高く、2021年の合格率は、以下の表で確認できます。
資格 | 一般検定受験者 | 認定講座受講者 |
---|---|---|
不動産実務検定2級 | 64% | 75% |
不動産実務検定1級 | 42% | 67% |
出典:不動産実務検定
上記の表からもわかるように、認定講座を受講したほうが、合格率が高いです。
管理業務主任者
管理業務主任者は、マンションの管理会社が業務する際に、マンションの管理組合に対して、管理委託契約に関する重要事項の説明や管理事務報告を行うために必要な国家資格です。
資格を取得する過程で、マンション経営に関する知識や、マンション管理適正化法などの法律の知識、建物や設備についての知識を学ぶことができます。
そのため、マンションだけでなく、アパート経営にも役に立つ資格です。
なお、管理業務主任者の合格率は、20%前後となっています。
住宅診断士(ホームインスペクター)
住宅診断士は、別名「ホームインスペクター」とも呼ばれており、第三者的な立場から住宅の劣化状況や欠陥などを診断したうえで、改修するべき箇所や時期、費用などについてアドバイスする専門資格です。
資格を取得するために、建物の調査や診断、建築基準法などの知識を学ぶことができるので、経営するアパートやマンションの劣化状況をある程度把握することができます。
ただし、マンション全体の詳細な劣化状況に関しては、専門業者に建物診断を依頼する必要があります。
住宅診断士の合格率は、30%程度と他の資格よりも高めですが、基本的には受験者が建築士や宅地建物取引士などの専門資格を取得している方が多いため、この分野に知見のない方が1から勉強して、合格するのは難しい資格と言えます。
賃貸不動産経営管理士
賃貸不動産経営管理士とは、2021年に国家資格に認定された、賃貸住宅の管理に関する実用的な知識が必要となる資格です。
資格取得のための勉強により以下の知識が身につきます。
・ 建物管理についての知識
・ 空室対策についての知識
・ 節税対策についての知識
上記のような、マンションやアパート経営において役立つ知識を数多く身につけることができるため、オーナーさんにおすすめ資格です。
賃貸不動産経営管理士の合格率は、30%程度となっています。
他の資格よりも合格しやすい資格ではありますが、国家資格になったことで今後難易度が高くなっていくことが予想されているため、早めに取得するようにしましょう。
不動産鑑定士
不動産鑑定士は、不動産の適切な価値を鑑定評価する専門家になるための国家資格です。
資格を取得できるほどの知識があれば、不動産資産の正確な価値を把握できます。
例えば、アパートやマンション、土地などの不動産鑑定評価書を作成することで、土地も含めた資産価値を鑑定できるため、1棟丸ごと所有されているケースでは、土地活用まで考慮に入れた不動産の運用を考えることが可能です。
もちろん、相続時の評価にも役立てることができるため、取得しておいて損のない資格と言えます。
ただし、不動産鑑定士試験は、試験は短答式と論文式の2段階選抜式でおこなわれ、合格率は短答式試験が30%程度、論文式試験が15%程度になっていますが、アパートやマンション経営に活かせる知識以外の専門知識も必要であるため、合格するには相当な労力が必要です。
ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルプランナーは、不動産に関する資格ではありませんが、ライフプランニングや、相続、資産運用など、お金に関するアドバイスをするのに必要な知識を証明する資格です。
このため、資格勉強の過程で、マンションやアパート経営の収支計画や相続、税金などお金に関する知識を取得できます。
マンションやアパート経営に役立たせるだけでなく、自身の人生設計そのものに役立たせることができるので、取得しておいて損はありません。
例えば、将来的に必要となる自己資金の計算や、ローンの返済計画などを立てることで、順風満帆な人生をおくれる可能性が高まります。
このように、ファイナンシャルプランナーは、アパート・マンション経営以外にも、利用できる資格であるため、取得を検討してみてください。
なお、ファイナンシャルプランナーには、「1級、2級、3級」の資格があり、合格率は3級が70%程度、2級は30〜40%程度、1級は7〜15%程度になります。
1級の資格取得難易度は高いですが、1級はより専門知識を問われる資格であるため、オーナーさんが取得するのは、基本的にはファイナンシャルプランナー2級で十分です。
アパート・マンション経営で資格取得をする際の注意点
アパート・マンション経営に活かすために資格を取得する際は、注意点がありますので、紹介した資格を取得するのかを検討する参考にしてください。
資格取得に手間と時間がかかる
当然ですが、合格して資格を取得するためには、手間と時間がかかりますし、忙しくて勉強時間が取れない方などには、資格取得は向いていません。
もちろん、資格の勉強をすることで、アパート・マンション経営に関する知識を身につけることはできるので決して損にはなりませんが、労力と得られるメリットを比較することが重要です。
アパート・マンション経営に関係ない知識も学ぶ必要がある
資格試験の内容は、アパート・マンション経営をしている方向けのものではなく、専門的な仕事をする方向けに作られているため、アパート・マンション経営に関係ない知識も学ぶ必要があります。
資格に該当する職に就かない方には必要ない知識も多いため、アパート・マンション経営に関する知識だけを効率的に学びたいという方には向いていません。
ただし、資格取得は、身に付ける必要がある知識が明確になっており、目標を持って勉強できるというメリットはあるため、「賃貸経営についてどういった知識を勉強したらいいのかわからない」という方にはおすすめの勉強方法です。
外部の専門化を探してアパート・マンション経営に協力してもらう
資格はアパート・マンション経営において必ずしも必要なものではありません。
ある程度の知識は必要にはなりますが、専門的な知識は専門家に協力してもらって補えます。
例えば、ファイナンシャルプランナーの知識に関しても、身につけておくほうが良いですが、具体的な収支計画などはファイナンシャルプランナーに依頼して、作成してもらうことが可能です。
ただし、依頼するための費用はかかるため、費用対効果を見極めることが必要になります。
まとめ
アパート・マンション経営において、資格はなくても問題ありませんが、資格を取得することで、経営に活かすことができるさまざまな知識を身に付けることができます。
しかし、資格を取得するためには、相応の勉強時間を確保する必要があるなど、注意点も少なくないので、注意点も考慮したうえで資格取得を検討することが重要です。
そのため、本記事では、アパート・マンション経営に役立つ資格を8つと資格取得する際の注意点について解説してきました。
アパート・マンション経営をしている方で、資格取得を検討している方は本記事を参考にしてみてください。
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