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不動産オーナーさま向けコラム

能登の地震は他人事ではない?賃貸経営で大震災に備えておくべことを徹底解説

2024.04.15

2024年1月1日の能登地方の大地震発生に多くの方が驚いたことでしょう。能登半島地震では、古い木造家屋が多く倒壊し、下敷きになった多くの方が命を落としました。

 

地震大国である日本では、こうした大地震がいつどこで発生するかわかりません。

 

このため、賃貸オーナーの方は、自分の所有する賃貸物件が被災した場合に居住者に対してどのような責任が発生するのか、また、そうしたリスクに備えてどのような対策をしておけばよいのか、考えておく必要があります。

 

そこで、この記事では賃貸経営において、大地震に備えておくべきことを詳しく解説します。

 

ぜひ最後までお読みいただき、参考にしてください。

能登地震で多くの方が家屋倒壊で死亡

2024年1月1日の能登半島地震はマグニチュード7.6、最大震度7という規模で発生しました。

 

古い木造家屋が多かったことで多数の家屋で被害が発生し、建物の全壊が7,737棟、半壊が12,681棟。石川県内で被害が確認された住宅の数は7万6,000棟余りにもなります。

 

参照:内閣府「令和6年能登半島地震に係る被害状況等について」

 

死亡者は241名となり、警察が検死を行った222名のうち倒壊した建物の下敷きになった「圧死」が最多の92名でした。これは死亡者数の約4割に当たります。

 

参照:NHK ニュースウェブ

 

能登地方では住民の高齢化が進み、古い木造家屋に住んでいる人が多かったことが被害につながっています。

 

ちなみに、高齢者の多い地域では住宅の耐震化が進んでおらず、未だに多くの古い木造家屋が残っていることが全国的な問題です。

地震大国と言われる日本と賃貸アパートの実態

地震大国といわれる日本では、実際にどのような実態があるのでしょうか。

 

賃貸アパートの状況も含めて解説します。

年間の地震発生件数と今後予想される大地震

2023年中に 震度1以上を観測した地震は、241回発生しています。震度ごとの内訳は下記のとおりです。

 

●    震度6強:1回
●    震度5強:1回
●    震度4:6回
●    震度3:21回
●    震度2:61回
●    震度1:151回
    
また、過去30年間で見ると、以下のように大きな地震が頻発しています。

 

●    阪神・淡路大震災(1995年)
●    新潟県中越地震(2004年)
●    新潟県中越沖地震(2007年)
●    東日本大震災(2011年)
●    熊本地震(2016年)
●    北海道胆振東部地震(2018年)


今後も「日本海溝・千鳥海溝地震」「首都直下型地震」「南海トラフ沖地震」などの発生が予想されているため、地域に関わらず十分な地震対策が必要です。

建物が地震で倒壊する確率

大地震が発生した後の映像を見ると、被災地ではほとんどの建物が倒壊しているような印象を受けますが、新耐震基準で建築された建物に関しては実際にはそれほどでもありません。

 

熊本地震では最も被害の大きかった益城町で調査を行ったところ、新耐震基準で建築された木造家屋1,196棟のうち倒壊したのは約7%の83棟でした。

 

そのうち、現行基準となった2000年6月以降に建てられた319棟では、倒壊はわずか2%ほどの7棟で、約61%が被害なしとなっています。

 

参照:国立研究開発法人 建築研究所「平成28年熊本地震の建築物被害調査と原因分析踏まえた課題について」

 

一方で、旧耐震基準の木造家屋759棟で見ると、倒壊したものは約28%の214棟にもなっており、倒壊した確率には大きな違いがあります。

 

ちなみに、今回の能登半島地震でも、多くの木造家屋が倒壊しましたが、その多くが旧耐震基準で建てられた古い木造家屋です。輪島市や珠洲市の耐震化率は、5割程度に留まっていたといわれています。

 

旧耐震基準の住宅は、瓦葺の屋根が重く、地震の横揺れに耐える筋交いや合板が少ない構造となっているため、今回の能登半島地震のように周期の長い揺れが続いた場合には、崩れやすく注意が必要です。

倒壊以外に考えうる建物の被害

熊本地震において、倒壊には至らなかったものの、新耐震基準の木造家屋で約8%、97棟が大破し、約54%にあたる641棟が何らかの被害を受けています。

 

被害を受けた建物には瓦の落下、外壁の剥落や、地盤が盛り上がって段差が生じているような被害も見られました。

 

アパート経営をしていた場合、こうした建物が居住者や通行人に危害を加える可能性があります。

 

ちなみに、共同住宅の耐震化率の状況としては、平成30年のデータでやや古いですが、全国で約2490万戸の共同住宅のうち、約94%にあたる約2350万戸が新耐震基準の建物であるという結果となっていました。現在ではさらに耐震化率は高くなっています。

 

参照:国土交通省「住宅・建築物の耐震改修の促進について」

建物の耐震基準について

建物の耐震性能を示す基準には「建築基準法」と「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」の2つがあります。

 

それぞれの基準の内容を詳しく見ていきましょう。

建築基準法

1919年には建築基準法の前身となる「市街地建築物法」が制定されていましたが、1923年の関東大震災を経て改正されます。

 

そして戦後の1950年に「建築基準法」が制定され、初めて建物に対する耐震設計が義務付けられることになりました。この時期の基準が「旧耐震基準」といわれるものです。

 

その後、1978年の宮城県沖地震の発生があったことで、1981年6月に改正され基準が大幅に強化。これが「新耐震基準」です。

 

1995年に阪神・淡路大震災を受けて、2000年6月に改正されました。それまでの新耐震基準と区別するため「現行耐震基準」と呼ばれています。

 

阪神・淡路大震災では木造家屋の多くが倒壊したことから、耐震基準がより厳格に定められています。具体的には下記の3つが新たに規定されました。

 

● 地盤に応じた基礎の設計
● 接合部の金具の取付け
● バランスの取れた耐力壁の配置

 

旧耐震基準では震度5強程度でも倒壊しないという基準でしたが、新耐震基準以降では震度6強~7程度でも倒壊しないレベルとなりました。

住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)

現行耐震基準が制定された2000年に制定された法律が「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」です。

 

住宅の品質において消費者を保護することが目的で、住宅性能表示制度や、住宅専門の紛争処理体制、新築住宅における10年の保証義務について定めています。

 

住宅性能表示制度では、住宅の品質を第三者機関が評価し、「住宅性能評価書」に記載します。

 

住宅性能の評価項目には耐震性能を審査する項目があり、耐震等級として1~3が設定されており、各等級の目安は下記のとおりです。


耐震等級1    震度6強~7程度に対して倒壊や崩壊しない(建築基準法レベル)
耐震等級2    等級1の1.25倍の地震に対して倒壊・崩壊しないレベル
耐震等級3    等級1の1.5倍の地震に対して倒壊・崩壊しないレベル

 

建物の耐震等級は「住宅性能評価書」に記載され、建築基準法を満たしていれば耐震等級1となります。

アパートが倒壊した場合の入居者への補償

万が一、大地震が発生して経営するアパートが倒壊した場合には、大きなトラブルとなります。

 

オーナーは入居者に対してどのような補償をしなければならないでしょうか。

賃貸契約はどうなるのか

アパートが地震によって全壊し、建物がなくなった場合は、賃貸借契約は終了します。

 

賃貸借契約は建物を貸し出して賃料を得る契約ですので、賃貸借の対象となる建物がなくなれば、原因に関わらず賃貸借契約は当然に消滅するからです。

 

全壊していなくても、行政からの避難指示や危険区域指定があり、住むことができなくなった場合も賃料の請求はできません。

入居者の仮住まいにかかる費用

地震の発生でアパートが住めなくなった場合に、入居者の仮住まいにかかる費用をオーナーが負担する必要はありません。

 

オーナーの故意や過失によって発生したトラブル以外は、費用を負担する必要がないためです。地震発生後のアパートの修繕中の仮住まいについても同様です。

 

ただし、アパート修繕後に住み続けてほしいと思う場合には、オーナーから見舞金を出すケースがあります。

入居者の家財道具への補償

地震でアパートの損壊は免れても、入居者の家財道具が破損した場合にはオーナー側で補償をする必要があるのかと心配に思うかもしれません。

 

一般的に、入居者の家財道具は入居者が加入する家財保険で補償対象になるため、オーナー側に保証する義務はないと考えられています。

 

ただし、場合によっては建物の安全管理を怠ったとみなされ、損害賠償を請求される可能性があるので注意が必要です。

地震による倒壊で問われるオーナーの責任

地震が発生した際に、建物や塀の倒壊で居住者や通行人に怪我を負わせたり死亡させたりした場合、オーナーの責任はどこまで及ぶと考えられるでしょうか。

 

地震による倒壊でオーナーが負う責任について解説します。

建物に瑕疵があった場合

地震による倒壊は自然災害であり、損害賠償が問われる故意や過失には当てはまりません。

 

しかし、建物に瑕疵があった場合は、オーナーの責任が問われる可能性があります。

 

 

阪神・淡路大震災によって賃貸アパートの1階部分が倒壊し、4人が死亡したケースの裁判では、建物の安全対策が不十分であったと瑕疵が認められました。

 

建物が通常有すべき安全性を欠いていたと裁判所が判断して1億3000万円の損害賠償が命じられています。

 

建物に瑕疵があり安全性が欠けている場合には、たとえ自然災害によって引き起こされた倒壊であったとしても、オーナーが損害賠償を支払う義務があることを覚えておきましょう。

老朽化した建物を放置していた場合

建物に不具合や違法なところがなかったとしても、老朽化した建物を放置していたために倒壊して被害を与えた場合は、オーナーに責任が及ぶ可能性があります。

 

民法606条では、「賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。」と記されており、古い建物だからといってその義務を免れることはありません。

 

建物の管理や地震対策が不十分であった場合には、建物の保存に瑕疵があったとみなされることがあります。

アパートオーナーが地震に備えて取るべき対策

大地震はいつどこで起こるのかはわかりません。万が一のときのために、日頃から備えておく必要があります。

 

ここでは、アパートオーナーが地震に備えて取るべき対策について解説します。

地震保険に加入する

地震保険は単体で加入できず、火災保険とセットで加入するのが必須になっているので、火災保険の加入と同時に地震保険にも加入しておきましょう。

 

地震保険の補償対象は、居住用の建物とその建物内にある家財一式で、地震を原因とする火災や津波による被害をカバーできます。

 

能登半島地震でもそうでしたが、地震発生時には火事が起こりやすいです。建物に地震の揺れの影響がなかったとしても、火事が発生して焼けてしまうこともよくあります。

 

ちなみに、地震保険の限度額は、火災保険の金額の30%~50%で設定することが一般的です。保険金の支払い額は建物の損害の程度により変動します。全壊の場合は保険金限度額の100%、大半壊で60%、小半壊で30%、一部損壊の場合は5%程度が支払われます。

火災保険に加入する

火災保険では地震が原因による火災は対象外です。火災保険単体では地震対策にならないので注意しましょう。

 

とはいえ、火災保険は補償の対象が広いのが特徴で、火災以外にも風害・水害・水漏れなどの事故もカバーされるケースがあります。

 

アパートオーナーは、火災保険と地震保険を必ずセットで入っておきましょう。

施設賠償保険に加入する

施設賠償保険は、第三者への補償をカバーしてくれる保険です。

 

建物の瑕疵やオーナーの過失による事故で死傷した場合には、建物の所有者は賠償の責任を負いますが、施設賠償保険はその際の賠償金を補償してくれます。

 

物件の老朽化など思わぬ事故のリスクを考えて、加入しておいたほうがよいでしょう。

耐震診断を受ける

賃貸アパートに耐震化の義務はありませんが、旧耐震基準で建てられた1981年5月31日以前に着工した建物については、耐震診断が義務付けられています。

 

旧耐震基準のまま放置していて大地震で倒壊になった場合には、物件のオーナーの責任となります。

 

耐震診断を受けて、補強工事を行うなど対策をしておきましょう。

新耐震基準への改築

旧耐震基準の建物と新耐震基準の建物では、地震に対する性能として大きな違いがあります。

 

熊本地震の事例でも、旧耐震基準では倒壊率が4倍程高くなっていました。

 

このため、新たに物件を取得する場合には、新耐震基準を満たす物件を選ぶようにしてください。

 

また、現在保有している物件が旧耐震基準の建物の場合は、補強工事をするか売却・買い替えを検討することがおすすめです。

まとめ

地震が多い日本でアパート経営をしていると、いつ大地震に遭遇するかわかりません。耐震性能が低い物件を放置していると、倒壊するリスクが高まります。

 

その際、倒壊で居住者や通行人に被害を与えたり死亡させたりすると、物件オーナーの責任が問われ、多額の賠償を請求されかねません。

 

そうした最悪の事態とならないためにも、耐震性能の高い物件にしておき、地震保険に加入するなどの対策を講じておきましょう。

この記事を書いた人

DAINICHI 編集部 不動産チーム

DAINICHI 編集部 不動産チームは社内外の有識者により構成されています。不動産の投資、管理、運用、リノベーション、売却、有効活用などの方法について、様々な視点から不動産に関する有益な情報をお伝えします。

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