不動産オーナーも必須?ライフラインの値上げに伴い実施するべき対策を解説!
近年、電気代やガス代などのライフラインの値上げが続いており、消費者の家計を圧迫し続けています。
ライフラインの値上げは借り手による水光熱費の負担増から物件への需要(賃料)に影響を与える恐れもあり、不動産オーナーにとっても深刻な問題です。
そこで今回は、不動産オーナーも実施するべきライフラインの値上げへの対策を解説していきます。
値上げの影響で不動産投資のメリットが小さくなったと感じる方や、対策を講じたいが何をしたら良いか分からないという方は、ぜひ参考にしてみてください。
ライフラインの値上げの現状
ここでは、ライフラインの値上げの現状について詳しく解説していきます。
ライフラインの価格が実際にどれくらい上昇しているのか、また値上げの原因などを理解し、対策の必要性を確認していきましょう。
止まらない電気代の高騰
東京電力の公式ホームページに掲載されている「平均モデルの電気料金」によると、2022年1月から2023年3月までに、電気代が平均して約2,000円も値上がりしていることが分かります。
この値上がり幅は過去のデータと比較しても顕著で、近年の電気代の上昇がいかに深刻な問題であるかが実感できるでしょう。
短期間でこれほど電気代が高騰した原因として、ロシアによるウクライナ侵攻や円安の影響で輸入コストが増加し、原料価格が高騰したことが挙げられます。
輸入コストを増加させる上記の要因はすぐに解決できる問題ではないため、しばらくは電気代の高騰が続く見込みです。
そのため不動産オーナーは、今後ますます家計を圧迫された入居者のニーズに応える経営の推進が必須となってくるでしょう。
原料価格の高騰によるガス代の値上がり
電気代の高騰と同じくガス代金の値上がりも顕著です。
電気代と並行して値上げが続いていることもあり、ダブルで家計を圧迫しています。
東京電力が発表している標準家庭のガス料金の推移をみると、2022年1月から約1年間で2,000円近くもガス代が値上がりしていました。
また、東邦ガスも同期間で同程度の値上げ幅となっており、大手ガス会社では軒並みガス代が高騰している状況です。
ガス代の値上げは、電気代と同じく原料価格の高騰が要因と考えられています。
ロシアによるウクライナ侵攻により天然ガスの供給バランスが崩れ、輸入価格が高騰し、ガス代の値上がりへとつながっているのです。
ライフラインの値上げが不動産投資に与える影響
ライフラインの値上げは消費者だけの問題ではありません。
電気代やガス代などの値上げは、入居者の物件に対する需要に影響を与えます。
入居者の需要の変化に合わせた対策を講じなければ、今後の不動産投資にも大きな影響を及ぼすことになります。
ここでは、ライフラインの値上げが不動産投資に与える影響について詳しく解説していきます。
間接的な賃料への低下圧力につながる
ライフラインの値上げは間接的な賃料への低下圧力につながります。
電気代やガス代などのライフラインの値上がりで、家計を圧迫された消費者が消費行動を見直すことによって、家賃も削減の対象となってきます。
その結果、家賃の安い物件に入居者が集まるため、間接的に賃料への低下圧力が働きます。
不動産オーナーにとって家賃を下げることは、減収に直結する深刻な問題です。
ライフラインの値上がりが続く状況下では、周辺の物件の家賃相場を把握し、適切に家賃を改定していくことが必須であると言えます。
省エネ性能が低い物件の評価が下がる
運営する物件の省エネ性能が低い場合、ライフラインの高騰によって物件の評価が下がってしまうかもしれません。
ライフラインの高騰が続けば、入居者は少しでも負担を抑えるために省エネ効果の高い物件を選びます。
不動産オーナーは省エネ効果が高い物件を運営することで、投資効果を高めることが可能です。
物件の省エネ効果を高める方法として、建物の断熱性能の向上や省エネ性能の高い設備の導入、太陽光発電などの再生可能エネルギーの利用などが挙げられます。
これらの対策を講じて入居者の家計への負担を少しでも軽減することが、ライフライン高騰を背景とした不動産投資のポイントです。
入居者の負担軽減を見据えたライフライン値上げ対策をオーナー向けに紹介
不動産オーナーにとって、昨今のライフラインの値上げに対しての対策を講じることが、いかに重要であるかが理解できたのではないでしょうか。
以下では、実際に入居者の負担を軽減する対策を、オーナー向けに紹介していきます。
自身の物件に合わせて、適切な対策を検討する際の参考にしてみてください。
オール電化を導入する
オール電化とは、キッチンや給湯、暖房などの住宅設備に電気エネルギーを使用することです。
IHのクッキングヒーターやエコキュート、床暖房など、オール電化の設備を導入することで、生活に必要な設備をすべて電気でまかなうことが可能となります。
電気代が高騰しているのに、「電気を使ったら電気代が高くなってしまうのでは?」
そう思う方もいるかもしれませんが、実はオール電化は電気料金の安い深夜電力を上手に使えば大きな節約効果が期待できるのです。
深夜電力とは、一般的に電気の使用量が少ない深夜から早朝にかけて電気を使用した場合、その分の電気料金が安くなるプランです。
電気・ガス・水道などのライフラインのなかで、時間帯によって料金が変わるのは電気だけです。
古くなった設備を交換する
賃貸マンションの場合はオール電化の導入が困難なこともあり、その場合は古くなった設備の更新が有効です。
古い設備は現行の設備より電気を使うものがほとんどであり、使用年数の経過とともに更に電気を消費するようになります。
よって、給水ポンプ、給湯器、エアコン等の古い設備を現行の機器へ変更することも有効といえます。
照明にLEDを導入する
照明にLEDを導入することで、照明代を節約することができます。
一般的に、照明に使われるのは白熱灯や蛍光灯、LEDなどが挙げられます。
なかでも、LEDは他の照明に比べて群を抜いて寿命が長く、交換の費用も安く済ませることが可能です。
それぞれの寿命をみていくと、白熱灯は約1000~2000時間、蛍光灯は6000~1万2000時間であるのに対して、LED照明の寿命は2万~4万時間といわれています。
また、LEDは白熱灯や蛍光灯に比べて電気代が安く済むことがわかっており、購入コストだけでなく月々の出費も節約することが可能です。
物件の部屋の照明以外にも、物件の共用部の照明をLEDにすることで、オーナー自身の出費も抑えることができます。
交換の際には初期コストがかかりますが、長期的に考えればメリットは大きいため、ぜひ検討してみてください。
太陽光発電設備を設置する
今後も電気料金の値上がりが続くことを踏まえ、太陽光発電設備などの再生可能エネルギーを利用するのも一つの手段です。
太陽光発電で再生可能エネルギーを生み出すことができれば、電気料金を節約することができます。
また、余った電気を電力会社に売ることも可能です。
再生可能エネルギーを利用すれば、長期的に大きな節約効果が見込めますが、導入の際には少なくない初期費用がかかります。
そのため、太陽光発電設備の導入を検討する際は、詳細な収支のシミュレーションを行いましょう。
入居者に安い電力会社を紹介する
不動産オーナーが入居者に安い電力会社を紹介するのも、ライフラインの値上がり対策の一つです。
一般的に、電気料金の詳細なシミュレートや電気会社の比較を入念に行わない人は少なくないといわれています。
物件のオーナーからお得な電気会社の情報を提供すれば、入居者の満足度の向上にもつながり、空室の対策にも有効と言えるでしょう。
そのためには、オーナー自身がそれぞれの電力会社の特徴や料金について詳しく把握しておくことが重要です。
情報収集には時間がかかりますが、後々の空室率にも大きく関わってくるため、情報収集のリターンは大きいと言えます。
給湯器をエコジョーズに換えてガス代を節約する
給湯器の設備をエコジョーズに換えればガス代を節約できます。
エコジョーズは、省エネ性の高い給湯器です。これまで使われていなかった「排気熱」を有効活用することで、効率的に少ないガスの量でお湯を沸かすことができます。
従来のタイプの給湯器と比較すると、年間で2万円ほどのガス代を節約することができると言われており、少しでも月々の支払いを節約したいと考える入居者にとって、エコジョーズの導入はメリットが大きいと言えるでしょう。
都市ガスと契約する
プロパンガスを契約している物件であれば、都市ガスへ契約を切り替えることでガス代が安くなる場合があります。
一般的に、プロパンガスよりも都市ガスの方がガス代は安く、選べる料金プランも種類が豊富です。
そのイメージは消費者にも浸透してきており、近年プロパンガスと契約している物件は入居者から避けられる傾向があると言われています。
プロパンガスから都市ガスへ切り替える際には、初期費用としてガス導管引き込み工事費用・ガス機器の変更設置費用・プロパンガスの解約費用等がかかりますが、入居者のニーズを考えるとメリットはあると言えるでしょう。
節水型トイレへ交換する
従来タイプのトイレから節水型トイレに交換することで、水道代を節約することができます。
節水型トイレとは1回あたりの流す水量を大幅に抑えたトイレです。
従来のタイプでは約10ℓから13ℓの水量を使用していましたが、節水型トイレでは6ℓから8ℓに抑えることができます。
また、最近の節水型トイレは節電機能を兼ね備えたタイプも多く、水道代だけでなく電気代も節約できるのが特徴です。
電気料金が高騰している昨今の状況を踏まえると、入居者に喜ばれる設備と言えます。
従来タイプから節水型トイレへの交換は、基本的に便器を交換する必要があるため、まずは専門業者に相談しましょう。
一般的に15~30万円ほどの費用がかかると言われていますが、今後もライフラインの高騰が予想されることを考えれば、検討する価値は十分あるのではないでしょうか。
まとめ
今回はライフラインの値上げを踏まえ、不動産オーナーが実施するべき対策について解説しました。
近年、電気代やガス代などのライフラインが急速に値上がりし、消費者の家計を圧迫しています。
そのため、不動産オーナーがライフラインの値上げを踏まえた対策を講じることは不可欠です。
今回紹介した内容は、初期費用が必要な対策もありますが、長期的に考えればメリットは大きいため、検討の余地は大いにあると言えるのではないでしょうか。
本記事を参考に、自身の運営する物件で実施できそうな対策をぜひ検討してみてください。
関連記事こちらの記事も合わせてどうぞ。
2024.06.01
不動産投資における円安の影響とは?メリット・デメリットを解説
2024.05.15
アパート経営をやめるタイミングとは?出口戦略を徹底解説
2024.04.15