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資産活用、賃貸管理、大規模修繕のダイニチ

不動産オーナーさま向けコラム

小規模アパートはどこまで手を入れるべき?収益性を高める低コストリフォーム実例5選

2025.07.01

築年数の経過により、賃貸物件は空室率の上昇や家賃の下落といった問題に直面しやすくなります。

 

しかし、建物全体を大規模にリノベーションするとなると、多額の費用がかかり、投資回収に時間がかかるため、二の足を踏むオーナーも少なくありません。

 

そこで注目されるのが、費用を抑えつつも効果的なポイントリフォームです。

 

本記事では、小規模アパートでも取り入れやすい低コストリフォームの実例や、費用対効果を見極めるポイントを紹介します。

 

限られた予算の中で収益性を高めるためのヒントとして、ぜひご活用ください。

小規模アパートのリフォームを考えるべきタイミングとは

築年数の経過に伴い、物件に対する入居者の評価やニーズは変化していきます。

 

こうした変化を正しく捉え、リフォームを検討するべき適切なタイミングを見極めることが重要です。

築年数と設備の老朽化による入居率の低下

築20年を超えるアパートでは、建物の外観や設備の劣化が顕著になり、入居率の低下につながることがあります。

 

外壁の色あせやひび割れ、錆びた手すりなどは、内見時の第一印象を大きく左右します。

 

さらに、キッチンやトイレ、浴室などの水回り設備に不具合や古さが見られると、衛生面や快適性に不安を覚える入居希望者も少なくありません。

 

その結果、他物件との比較で不利になり、空室期間が長引く原因にもなるので、早めの対応が収益維持の鍵となるでしょう。

家賃下落への歯止めと差別化の必要性

新築や築浅の物件が近隣に増えてくると、築年数の経ったアパートは相対的に魅力が薄れ、家賃を下げざるを得ない状況に直面しやすくなります。

 

そのまま放置していると、競争力を失い、入居者を確保するのが難しくなる可能性もあります。

 

こうした状況を打開するには、内装や設備を適切に見直し、競合物件との差別化を図ることが重要です。

 

たとえば、床材や照明をニーズの高い現代的な仕様に変更したり、キッチンや洗面台など日常的に使用される設備をリニューアルすることで、使用頻度の高い箇所を更新したりすることで、入居者に好印象を与えることができます。

不具合を放置すると修繕コストが膨らむ

小さな不具合をそのままにしておくと、やがて深刻なダメージへと発展し、高額な修繕費用を要するケースに発展することがあります。

 

たとえば、水漏れを見過ごすと、表面だけでなく壁内部や床下まで水が浸透し、構造体の腐食やカビの発生につながるおそれがあります。

 

こうなると、単なる補修では済まず、全面改修が必要になることもあるのです。

 

定期的な点検と早期対応を心がけることで、余計なコストを抑えられるようになり、結果として、物件の収益性を安定的に維持することが可能となります。

どこまで手を入れるべきか?判断基準のポイント

限られた予算で最大の効果を得るには、「どこに」「どれだけ」投資するかがカギとなります。

 

ここでは、リフォームする際の判断基準について解説します。

投資対効果(ROI)で判断する

リフォームを検討する際には、感覚だけでなく数値データに基づいた投資判断が欠かせません。

 

具体的には、工事にかかる費用と、それによって期待される家賃の増額や空室率の改善などを比較し、どれだけの期間で投資したコストを回収できるかをシミュレーションすることが重要です。

 

たとえば、30万円のリフォームで月額5,000円の家賃アップが見込める場合、年間では6万円の収入増となり、約5年で投資回収が可能と判断できます。

 

このように数値で効果を明確にすることで、無駄な出費を避け、実現性の高い改修計画が立てやすくなります。

リフォームの「見える部分」と「見えない部分」を考える

入居者の多くは、内装や設備といった「目に見える部分」で部屋を評価します。

 

一方で、断熱性能や配管の更新といった「見えない部分」は直接的な判断材料になりにくいため、必要最低限(実害が出ない程度)の対応にとどめるという判断もあります。

入居ターゲット層に応じて優先順位づけをする

物件の立地や間取りによって、ターゲットになる層は異なります。

 

たとえば、学生や単身の社会人にはトレンドを意識した内装デザインを取り入れ、、ファミリー層には収納スペースの充実や使い勝手の良いキッチンなどを取り入れると効果的です。

 

誰に住んでもらいたいかを明確にした上で、ニーズに合ったリフォームを施すことが重要です。

費用対効果の高いリフォーム対策5選

物件オーナーにとって、コストパフォーマンスの高いリフォームが理想的です。

 

費用を抑えながら、入居率の改善や家賃の維持につながる具体的なリフォーム内容を5つ紹介します。

クロス・フローリングの張り替えによるイメージアップ

クロス張り替えは、部屋の第一印象を大きく左右する重要なポイントです。

 

タバコのヤニやカビで汚れた壁紙は、清潔感を損ない内覧時の印象を大きく下げてしまいます。

 

一方で、明るく清潔感のある壁紙に張り替えるだけで、室内全体の印象が大きく向上します。

水回り設備の更新と独立化

3点ユニットバスからトイレ・洗面台・浴室の独立型にする改修は、女性からの人気が高まります。

 

費用はやや高めですが、築古物件においては競争力を強化できるポイントです。

収納スペースの拡充と効率化

狭い部屋でも収納力が高ければ、生活のしやすさが向上します。

 

クローゼットの新設や、押入れを使いやすく改造することで、入居者の満足度を高めることができます。

 

特にデッドスペースを有効活用すれば、比較的低コストで済ませることが可能です。

ターゲット層に合わせた設備強化

 ・単身者やDINKsには、Wi-Fi完備・宅配ボックス・機能的なキッチン・おしゃれな照明が効果的です。

 

 ・女性向けには、オートロックや防犯カメラの設置、清潔感のある浴室や大型の洗面台が評価されやすいです。

 

 ・高齢者向けには、手すりや段差の解消といったバリアフリー化が求められます。

 

このように、入居者のライフスタイルに寄り添った設備を整えることで、住み心地が向上し、長期入居にもつながります。

共用部分の刷新とセキュリティ強化

エントランスの印象は、内見時における第一印象を左右します。

 

高圧洗浄や照明のLED化、防犯カメラの設置などは比較的低コストでありながら高い効果が期待できます。

 

安全性や清涼感が向上することで、安心して暮らせる印象を与えることができ、入期促進につながります。

収益性を高めた低コストリフォーム実例5選

ここでは、実際に小規模アパートで収益性が改善した実例を紹介します。

 

参考になる部分があれば、ぜひ取り入れてみてください。

実例1:和室から洋室へ変更して若年層の入居率向上

築30年の物件では和室の畳が古さを余計に強調し、若年層から敬遠されていました。

 

そこで、和室をフローリングに変更し、現代的な印象へと一新しました。

 

工事費用は6畳1部屋あたり10~20万円程度と比較的低コストながら、視覚的な印象は大きく改善されました。

 

加えて、壁紙や照明もフローリングに合うシンプルで明るいデザインに統一することで、1年以上空室だった部屋がリフォーム後わずか2週間で契約に至りました。

 

初期投資を抑えつつ、ターゲット層のニーズを的確に捉えた良例といえるでしょう。

実例2:ユニットバスの交換ではなく「塗装+アクセントパネル」で印象刷新

築年数が古い物件では、特に水回りの老朽化が入居者の印象に大きく影響します。

 

とはいえ、ユニットバスの全面交換には100万円程の費用がかかるため、賃料とのバランスを考えると現実的ではないケースも少なくありません。

 

そこで本実例では、既存の浴槽を再塗装することでツヤ感と清潔感を回復させ、壁面の一部に防水性のあるアクセントパネルを追加しました。

 

このリフォームによって、古さを感じさせない明るくモダンな空間へと生まれ変わりました。

 

工期は3日で費用は15万円程度に抑えられています。

 

リフォーム後は内見時の反応が明らかに良くなり、以前よりも高めの家賃設定でも早期に入居者が決定しています。

 

結果として、月額1万円の家賃アップに成功し、投資回収も短期間で見込める改修となりました。

 

コストを抑えつつ、入居者の満足度を高める工夫が光る実例です。

実例3:共用部の照明を人感センサー付きLEDへ交換

築年数が経過したアパートでは共用部の照明が暗く、入居者から防犯面での不安を感じる入居者の声がありました。

 

そこで、階段や廊下などに設置されていた古い蛍光灯を撤去し、人感センサー付きのLED照明に交換することにしました。

 

これにより、人が通ると自動で点灯する仕組みとなり、夜間でも安心して出入りできる環境が整いました。

 

さらに、消費電力も抑えられるため、電気代の削減にもつながっています。

 

交換作業は1日で完了し、費用も1カ所あたり2万円前後と比較的低コストで実施可能です。

 

改修後の入居者アンケートでは「明るくなって安心」「節電にもつながって嬉しい」といった好意的な声が多く寄せられました。

 

特に女性の入居希望者にとって防犯性は重要な判断材料となるため、結果として女性の入居率が上昇し、満室経営の後押しとなりました。

 

安全性とコストパフォーマンスの両面から効果が期待できる施策です。

実例4:外壁とエントランスの高圧洗浄で外観の印象アップ

築年数が経過した物件では、外壁の汚れやエントランスの黒ずみなどが目立ちやすく、第一印象を大きく損ねる要因となります。

 

しかし、外壁塗装を行うとなると費用は数十万円から、場合によっては百万円以上にものぼるため、小規模アパートでは費用対効果のバランスが難しいのが実状です。

 

そこで本実例では、塗装ではなく高圧洗浄を活用し、外壁や階段、アプローチ部分などに付着した長年の汚れを徹底的に除去しました。

 

作業は3日で完了し、費用は10万円以下に抑えることができました。

 

見た目の清潔感が大幅に向上したことで、内見時の印象が改善され、内見から成約に至るまでのスピードが明らかに早くなったと感じています。

 

特別な設備を導入しなくても、清掃による美観の回復だけで十分な効果が期待できることを示す事例といえるでしょう。

実例5:キッチンは交換せず、シート貼りと取っ手交換で見た目を改善

古いキッチン設備をそのまま交換しようとすると、工事費だけでなく給排水やガス周りの手直しも必要となり、費用が大きくなりがちです。

 

そこで本事例では、設備本体は既存のまま活かしつつ、見た目の印象を変える工夫に重点を置きました。

 

具体的には、扉部分に木目調のリメイクシートを丁寧に貼り付け、取っ手もモダンなデザインに交換することで、キッチン全体が一気に明るく清潔な印象へと生まれ変わりました。

 

実際に内見した女性からは「新しく見える」「手入れがしやすそう」といった声が多く寄せられ、家賃は据え置きながらも空室期間を半分以下に短縮されています。

 

費用は10万円以下に抑えられ、コストパフォーマンスの高いポイントリフォームとなりました。

 

コストをかけずに印象を変える手法は、他の部位への応用も可能な良例です。

小規模アパート経営の収益性を高めるためのポイント

小規模アパートでは投入できる費用に限るがあるため、収益性を改善するには、戦略的なリフォームと経営判断が欠かせません。

ターゲット層の明確化と特化戦略

小規模アパートで安定した収益を上げるには、どのような入居者に住んでもらいたいかを明確にすることが不可欠です。

 

万人向けの無難なリフォームよりも、特定の層に響く仕様や内装に絞ったほうが効果的です。

 

たとえば、学生をターゲットにする場合、省スペースでも使いやすい収納棚や可動式ラック、デスクライト付きの備え付けカウンターデスクなどを設けることで反響が得やすくなります。

 

さらに、女性向けであれば、オートロックや防犯カメラの設置、独立洗面台や収納付き三面鏡の導入といった、防犯性や身支度のしやすさが選ばれるポイントとなります。

 

こうした特化戦略は、入居率の向上や家賃維持にもつながるでしょう。

コスト削減と資金調達の工夫

限られた予算内で最大の効果を得るには、リフォームの優先順位を明確にし、段階的に実施する「ミニマムリフォーム」が効果的です。

 

入居者の目に留まりやすい箇所や、機能性に直結する部分から手を入れることで、費用を抑えつつ印象を大きく変えることができます。

 

また、工事費を一括で支払うのが難しい場合には、家賃収入の範囲内で返済可能なリフォームローンや割賦払いの利用や、さらには補助金制度の利用も検討するとよいでしょう。

 

これらを組み合わせて、無理のない改修計画を立てることが収益性の鍵となります。

定期的なメンテナンスと出口戦略

日常的な点検や清掃を継続的に実施することで、建物の劣化を早期に発見でき、余計な修繕費の発生を未然に防ぐことが可能です。

 

また、将来的に物件を売却する可能性がある場合は、出口戦略を見据えた維持管理も重要です。

 

売却時に有利な条件で取引できるよう、定期的な手入れを通じて資産価値を保つ意識が求められます。

 

普段からの積み重ねが、長期的な収益性と資産形成の土台となるのです。

まとめ

小規模アパートであっても、工夫次第で収益性を高めることは十分に可能です。

 

すべてを一度に改修するのではなく、入居者のニーズや物件ごとの特性を見極めたうえで、効果的なポイントに絞ってリフォームを行うことが重要です。

 

そうした柔軟な対応こそが、無駄な支出を抑えつつ成果を上げる近道になります。

 

また、予算が限られていても、視点を変えて工夫を凝らせば、物件の魅力を引き出し「選ばれる物件」へと変化させることも可能です。

 

入居者目線を忘れずに対応することで、空室対策や家賃維持にもつながります。

 

収益性の向上と資産価値の維持、双方を意識した経営を心がけることが、長期的な成功を支えるカギとなるでしょう。

この記事を書いた人

DAINICHI 編集部 不動産チーム

DAINICHI 編集部 不動産チームは社内外の有識者により構成されています。不動産の投資、管理、運用、リノベーション、売却、有効活用などの方法について、様々な視点から不動産に関する有益な情報をお伝えします。

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