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資産活用、賃貸管理、大規模修繕のダイニチ

不動産オーナーさま向けコラム

賃貸経営での「家族信託」の活用方法とは?メリット・事例・手続きまで徹底解説

2025.12.01

賃貸経営を続けるうえで、「オーナーが高齢になったら管理はどうなるのか」「相続のときに家族で揉めないか」といった不安を抱く方は少なくありません。

 

特に近年は、認知症による判断能力の低下や相続時の資産凍結など、従来の制度では対応が難しい問題が増えています。

 

そこで注目されているのが「家族信託」です。

 

家族信託を活用すれば、信頼できる家族などに賃貸物件の管理・運営を任せることができ、オーナー自身が判断できなくなっても経営をスムーズに続けられます。

 

本記事では、賃貸経営における家族信託の仕組みやメリット、活用事例、導入の流れを詳しく解説します。

家族信託とは?賃貸経営に注目される理由

家族信託は、財産を持つ人(委託者)が財産の管理や運用を信頼できる家族など(受託者)に託す制度です。

 

高齢化が進む中、賃貸経営においても認知症などによる判断力低下への備えとして注目されています。

 

資産の凍結を防ぎ、家族が安心して経営を続けられる点が魅力です。 

家族信託の基本的な仕組み

家族信託とは、財産を持つ人(委託者)が信頼できる家族(受託者)に財産の管理を任せ、その利益を別の人(受益者)が受け取る仕組みです。

 

信託契約を結ぶことで、財産を所有する名義と利益を受け取る権利を分けることができます。

 

この制度を利用すれば、将来オーナーが判断力を失っても、受託者が代わりに運用を続けられます。

 

生前から活用できるため、相続対策や賃貸経営の継続に有効です。 

成年後見制度や遺言との違い

成年後見制度は、本人の判断能力が低下した後に家庭裁判所を通じて、後見人を選任してもらう制度です。

 

裁判所が関与するため安心感はありますが、手続きに数ヶ月かかることが多く、選任後は財産の使用目的にも制限があるため、柔軟な資産運用が難しくなるというデメリットがあります。

 

一方、遺言は本人の思いを死後に反映させるためのもので、生前の財産管理や運用には使えません。

 

あくまで亡くなってから効力が発生する文書です。

 

家族信託はこれらと異なり、生前から契約を結んでおけば、財産を柔軟に管理・運用できる点が大きな特徴です。

 

契約を結んでおくことで、本人が判断能力を失った場合でも、信託された財産については家族が裁判所を通さずに管理や処分を行えます。

 

信頼できる家族に資産を託すことで、将来のトラブルを未然に防げます。 

賃貸経営における信託活用の特徴

賃貸経営では、契約の更新や修繕の判断、入居者対応など、日常的な意思決定が欠かせません。

 

オーナーが高齢になって判断力を失うと、これらの業務が滞るおそれがあります。

 

家族信託を導入すれば、家族が受託者としてオーナーに代わり管理を続けられるため、経営を中断する必要がありません。

 

また、信託契約を通じて責任や権限を明確にできるため、家族間でのトラブルも防止できます。

賃貸経営における家族信託のメリット

家族信託を導入することで、オーナーの高齢化による経営停滞や相続問題を防ぐことができます。

 

資産の凍結を避け、家族が代わりに管理・運営を継続できるため、賃貸経営を安定的に続けられる点が大きな魅力です。

オーナー高齢化による認知症リスクへの備え

オーナーが高齢になり認知症を発症すると、銀行取引や契約更新ができなくなり、経営が止まる恐れがあります。

 

家族信託を活用すれば、あらかじめ家族に管理権限を託すことができ、判断力が低下しても家族が代わりに対応可能です。

 

これにより、入居者対応や修繕業務などを継続でき、経営の中断を防げます。

 

結果として、資産価値を守りつつ、安定した家賃収入を確保することが可能です。 

賃貸物件の管理・運営をスムーズに引き継げる

家族信託では、所有権を移さずに管理や運営を受託者に任せることができます。

 

名義変更の手間がなく、契約関係や資産の運用をそのまま継続できるのが利点です。

 

受託者となった家族は、家賃収入の管理や修繕の判断などを円滑に行えます。

 

さらに、入居者や取引先との関係も維持できるため、経営の信頼性を損なう心配もありません。

 

経営の連続性を確保する有効な仕組みといえます。 

相続トラブルや資産凍結の回避

相続が発生すると、預金や不動産の名義が一時的に凍結され、運営が滞るケースが少なくありません。

 

家族信託を利用すれば、生前のうちに資産の管理方針を定められるため、相続時もスムーズに手続きが進みます。

 

また、遺産分割協議を経ずに資産を承継できるため、家族間の争いを防ぐ効果もあります。

 

あらかじめ信託内容を決めておくことで、相続後も安定した賃貸経営を継続できるのです。

家族信託の活用事例(賃貸経営編)

家族信託は、賃貸経営の現場でさまざまな形で導入されています。

 

高齢オーナーの引退後も家族が管理を引き継げるほか、相続時の収益分配や共有不動産のトラブル防止にも効果を発揮し、円滑な経営を支えています。 

親が高齢になった後も賃貸管理を継続できるケース

オーナーが高齢になり、賃貸管理が難しくなった場合でも、家族信託を活用すれば経営の継続が可能です。

 

たとえば、親が委託者兼受益者となり、子どもが受託者として業務を代行する形をとります。

 

この仕組みにより、契約更新や修繕などの判断を子が代わりに行えるため、経営が途切れる心配がありません。

 

また、家賃収入も従来どおり親の利益として扱えるため、生活の安定も確保できます。 

相続発生後にスムーズに収益を子へ引き継いだ事例

家族信託を利用すれば、相続発生後も家賃収入をあらかじめ指定した家族に引き継ぐことが可能です。

 

遺産分割協議を待つ必要がないため、収益が途切れず、経営を継続できます。

 

実際に、親が生前に信託契約を結んでおいたことで、相続発生後も子がスムーズに管理を引き継ぎ、運営を継続できたケースがあります。

 

これにより、煩雑な手続きを避け、賃貸事業を止めずに家族の生活を守ることができます。 

共有不動産の運営トラブルを回避した事例

相続によって兄弟や親族で不動産を共有すると、意見の対立から経営が停滞することがあります。

 

家族信託を活用すれば、受託者を一人に定めることで意思決定を一本化でき、無用なトラブルを防げます。

 

実際に、兄弟間で共有していたアパートを家族信託に切り替え、長男を受託者にしたことで、修繕や契約更新の判断が迅速になった事例もあるのです。

 

このように、信託は共有不動産の課題解決にも有効な手段です。

家族信託を導入する際の注意点

家族信託は非常に有効な制度ですが、正しい知識を持たずに進めるとトラブルにつながる恐れがあります。

 

特に受託者の選定、契約内容の設計、税務や登記の扱いには細心の注意が必要です。


専門家と連携して進めることが安心です。 

信頼できる受託者の選び方

受託者は信託契約の中心的な存在であり、財産の管理や運用を実際に担います。

 

そのため、責任感が強く誠実に対応できる人を選ぶことが大切です。

 

家族間であっても信頼関係に不安がある場合は、専門家を受託者にする選択肢も検討すべきです。

 

感情的な判断ではなく、資産を適切に守れる人を選ぶことが成功の鍵となります。

 

慎重な検討を重ね、長期的に任せられる人物を選定しましょう。 

信託契約の設計で失敗しないポイント

家族信託では契約書の内容がすべての基盤になります。

 

目的があいまいだったり、管理や分配の方法が明確でなかったりすると、後に家族間で意見の食い違いが生じることがあります。

 

そのため、財産の範囲、信託の期間、受益者の指定などを具体的に記載することが重要です。

 

専門家に確認してもらいながら、トラブルの余地を残さない契約設計を心がけることが失敗を防ぐ第一歩です。

税務・登記など専門家への相談の必要性

家族信託を実行するには、登記や税務など法律的な手続きが伴います。

 

自己判断で進めると、思わぬ税負担が発生したり、法的効力が不完全になったりする危険もあります。

 

司法書士や税理士、弁護士など信託に詳しい専門家へ相談することで、正しい手続きを確実に行えます。

 

専門家のサポートを受けながら進めることで、安心して家族信託を導入できる環境を整えられます。

家族信託の手続きと導入の流れ

家族信託を導入するには、信託の目的や内容を整理し、契約書を作成したうえで登記を行う必要があります。

 

各段階を丁寧に進めることがトラブル防止につながり、専門家の支援を受ければ、安心して手続きを完了できます。 

導入前に検討すべき内容(財産・目的・関係者)

家族信託を始める前に、まず「何のために行うのか」「どの財産を対象とするのか」を明確にしましょう。

 

信託財産が曖昧なままだと、契約後に家族間の認識がずれ、トラブルの原因になります。

 

また、委託者・受託者・受益者といった関係者の役割を明確にし、それぞれが納得していることが大切です。

 

目的と構成を整理したうえで進めることで、信頼性の高い契約が実現できます。

契約書作成から登記までの手続きの流れ

家族信託は、まず契約内容をまとめた「信託契約書」を作成することから始まります。

 

その後、公証役場で公正証書を作成し、信託財産に不動産が含まれる場合は登記を行います。

 

これらの手続きによって契約が法的に有効となります。

 

特に登記は不動産の権利関係を明確にする重要な工程です。

 

誤りや漏れがあると後の修正が困難なため、正確な流れで進めることが大切です。 

弁護士や司法書士など専門家に依頼する場合の費用相場

家族信託の手続きは専門的な法的知識を要するため、専門家へ依頼するのが一般的です。

 

費用の目安は信託財産に不動産がある場合で専門家に依頼した場合は50万〜100万円程度です。

 

・コンサルティング費用:信託財産額の1%程度(最低30万円~)


・公正証書作成の手続き代行費用:10万円~15万円


・公正証書の作成費用:3万円~10万円


・司法書士への登記依頼費用:8万円~12万円


・登録免許税:固定資産税評価額の0.3~0.4%


専門家への依頼には費用がかかるものの、契約不備や税務上のトラブルを未然に防ぎ、結果として大きな安心とリスク回避につながります。

 

家族信託の実務に精通した専門家に依頼することで、手続きをより安全かつ確実に進められるでしょう。

賃貸経営で家族信託を活用するなら専門家に相談を

家族信託は法務・税務・登記など複数の専門知識が必要な制度です。

 

内容を誤ると後々のトラブルや課税リスクにつながるため、専門家のサポートを受けることが不可欠です。

 

弁護士や司法書士が契約内容の法的整合性を確認し、税理士が税負担の最適化を行うことで、安心して信託を導入できます。

 

信頼できる専門家に相談すれば、将来の相続や賃貸経営も見据えた効果的な設計が可能になります。 

弁護士・司法書士に依頼するメリット

家族信託の契約書は法的効力を持つ重要な書類であり、条文の一語一句が大きな影響を与えます。

 

弁護士や司法書士に依頼すれば、信託目的や管理方針を踏まえた上で、最適な契約内容を整備してもらえます。

 

また、法的リスクや将来的な紛争を回避するための助言も受けられるため、安心して運用を始められるでしょう。

 

さらに、登記手続きや関連書類の作成も代行してもらえるため、初めて信託を導入する人にとって心強い存在です。

税理士との連携で節税効果も高める

家族信託では、贈与税・相続税・所得税などの税務が複雑に絡み合います。

 

税理士と連携することで、課税リスクを抑えつつ、信託契約に基づいた最適な税務戦略を立てることが可能です。

 

例えば、信託財産の運用益を誰が受け取るかによって税負担が変わるため、税理士の助言は欠かせません。

 

信託の目的と税務面のバランスを取ることで、節税効果を高めながら賃貸経営の安定化を図ることができます。 

相談窓口や活用に強い専門家の探し方

家族信託を成功させるためには、実績のある専門家を選ぶことが重要です。

 

信託に詳しい司法書士や弁護士を探すには、司法書士会・弁護士会・信託協会などの公式窓口を活用すると安心です。

 

また、相談前に過去の事例や得意分野を確認し、自身の目的に合った専門家かを見極めましょう。

 

無料相談を実施している事務所も多く、複数の専門家に相談して比較することも有効です。

 

信頼できる専門家に出会うことが、家族信託成功の第一歩といえます。

まとめ

家族信託は、賃貸経営における高齢化や相続に伴うトラブルを未然に防ぐための有効な資産管理手法です。

 

オーナーが認知症などで判断能力を失っても、信頼できる家族が受託者として経営を継続できるため、収益の途絶や資産凍結を回避できます。

 

また、相続発生後の分割協議を経ずにスムーズに収益を承継できる点も大きな利点です。

 

さらに、共有不動産の運営においても、受託者を定めることで意思決定を一本化でき、家族間の対立を防ぐことができます。

 

ただし、契約内容や税務処理を誤ると、後々のトラブルや課税リスクを招く恐れがあるため、導入時は弁護士・司法書士・税理士といった専門家への相談が欠かせません。

 

信託の目的や家族構成、資産の状況に応じて最適な設計を行えば、家族信託は将来にわたって安定した賃貸経営を支える強力な仕組みとなります。

 

大切な資産を守り、家族に安心を残すためにも、早めの検討と適切な準備が重要です。

この記事を書いた人

DAINICHI 編集部 不動産チーム

DAINICHI 編集部 不動産チームは社内外の有識者により構成されています。不動産の投資、管理、運用、リノベーション、売却、有効活用などの方法について、様々な視点から不動産に関する有益な情報をお伝えします。

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