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不動産オーナーさま向けコラム

インバウンド需要増加が国内不動産市場に与える影響とは?

2024.12.15

インバウンド需要の拡大は日本経済に大きな影響を与えており、不動産市場にも変化が顕著に現れています。

 

観光地を訪れる外国人の増加は、観光業や小売業の発展のみならず、不動産市場の地価や賃貸需要にも影響を及ぼしているのです。


この記事では、インバウンド需要の背景と国内不動産市場への影響、さらに今後の展望について解説します。

インバウンド需要の増加状況

インバウンド需要は、コロナ後の経済再開とともに急速に増加し、訪日外国人旅行者の数は目覚ましい回復を見せています。

 

この流れは日本の観光業のみならず、不動産市場にも大きな影響を及ぼしつつあります。

コロナ後の急速な回復

2022年にコロナによる入国制限が緩和されると、訪日外国人の数は急速に回復を見せました。

 

この時期から円安が進んだことで日本国内の旅行コストが低下し、観光客にとって訪日が手頃に感じられることも増加を後押ししています。

 

2023年には訪日外国人の数がコロナ前の水準に迫る勢いで増加し、観光地は再び活気を取り戻しています。

消費動向と経済波及効果

観光庁によると、訪日外国人の2023年の年間消費額は5.3兆円と過去最高額を記録しており、この金額は国内GDPの0.9%にあたる規模で、国内各地に大きな経済効果をもたらしています。

参照:観光庁「旅行・観光消費動向調査」2023年年間値(確報)

 

外国人観光客が消費する主な項目は宿泊、飲食、ショッピング、交通手段などです。

 

それぞれの地域ごとに多様な経済波及効果が見られます。


東京や大阪といった都市部では高額なショッピングや高級ホテルの利用が多く見られている一方、北海道や沖縄などの観光地では宿泊や観光アクティビティの需要が増え、地方の経済活性化の重要な役割を果たしています。


この消費の波及が地方経済に与える影響も大きく、観光地近隣の飲食店や小売業の振興に欠かせない要素です。

訪日外国人数と年間推移

日本政府観光局(JNTO)によると、2023年の訪日外国人の人数は2,507万人を記録しています。

コロナ前である2019年の約3,200万人の8割近くまで回復してきました。

 

その後も訪日外国人の人数は順調に増加しており、2024年は8か月連続で同月過去最高を記録しています。

 

9月末現在の累計は2,688万人となり、前年の年間累計をすでに上回りました。


今後も増加を見込んでおり、2024年は史上最多の3,500万人を予測しています。


日本政府は、観光立国の実現に向け、2030年までに訪日外国人旅行者数を6,000万人、消費額を15兆円とすることを目標としています。
参照:日本政府観光局(JNTO)「訪日外国人旅行者統計」

国内不動産市場への影響

インバウンド需要の拡大は、観光地周辺や都市部の不動産市場に大きな影響を及ぼしています。

 

特に賃料や地価の上昇が顕著に見られます。

観光地の地価上昇

インバウンド需要の急増を背景に、浅草や京都、原宿といった主要な観光地の地価が大きく上昇しています。

 

観光客が多く訪れるエリアでは、新たな商業施設や飲食店の開業が相次ぎ、地域全体の活性化が進行中です。

 

こうした動きにより、国内外の投資家が注目するエリアとなり、さらなる不動産投資を呼び込んでいます。

ホテル建設の増加

インバウンド需要の増加に伴い、主要都市や観光地でホテルの建設が進んでいます。

 

特に東京、大阪、京都などでは新規ホテルの供給が加速しており、2023年には大手ホテルチェーンのマリオット・インターナショナルが東京・品川に「メズム東京、オートグラフ コレクション」をオープンしました。


また、ヒルトンも大阪に「ヒルトン大阪」を改装・拡張し、観光需要に応えています。

 

京都では、リッツ・カールトン京都などの高級ホテルが増加しています。


これらの施設の増加は、観光地の地価上昇を促し、地域経済への波及効果も高まっています。

賃貸需要の高まり

インバウンド需要の拡大により、観光地や主要都市で賃貸物件の需要が急増しています。

 

訪日外国人の滞在日数が長期化する傾向にあるほか、仕事や学業での中長期滞在者も増加し、特に東京や大阪、京都といった都市部の賃貸物件は需要が高まっています。


また、浅草や渋谷などの人気観光エリアでは、短期賃貸を提供する物件も増え、外国人向けに対応する不動産事業者が増加しています。

 

円安の影響もあって日本での生活コストが欧米やアジアの一部諸国に比べて割安に感じられるため、外国人の賃貸ニーズは引き続き強い状態です。

外国人富裕層の物件購入

近年、インバウンド需要の増加や円安の影響もあり、外国人富裕層による日本国内での物件購入が加速しています。

 

特に東京や大阪、京都といった観光地に加え、軽井沢や箱根などのリゾート地も注目を集めており、別荘や高級マンションの購入が増えています。

 

外国人富裕層は、高級物件や資産価値の高い不動産を求めることが多く、こうした需要が地域の不動産価格上昇を後押ししています。


また、富裕層の中には投資目的での購入も多く、宿泊施設や商業スペースとして運用するケースも見られます。

商業施設の開発ラッシュ

インバウンド需要の増加を受け、国内では観光客向けの商業施設の開発ラッシュが続いています。

 

特に、東京の渋谷や銀座、大阪の梅田といった都市部では、複合型商業施設の建設が相次ぎ、観光客の消費拡大を見込んだ新たな商業エリアが誕生しました。


また、京都や福岡などの地方都市でも、観光資源を活かした新しい施設開発が進んでいます。


こうした動向の影響で、地域の活性化が進むと同時に、周辺不動産の価値向上にもつながって、商業エリア全体の地価上昇も顕著になっています。

日本の不動産の魅力

日本の不動産は、安定した投資環境や手頃な価格設定で海外投資家の関心を集めています。

 

ここでは日本不動産の主な魅力を解説します。

他国に比べて安価な不動産価格

日本の不動産は、特に東京の物件が他の主要都市に比べて割安とされています。

 

例えば、ニューヨークやロンドン、香港の不動産価格は東京と比べて数倍高い水準にあり、同等の立地や規模の物件でも、日本では比較的手頃な価格で購入できます。

 

この割安感が、日本市場に魅力を感じる海外の投資家を引きつけている要因の一つです。


また、都市部だけでなく、観光地として人気のある地方の不動産にも投資のチャンスが広がっています。

 

円安の影響も加わり、購入コストがさらに抑えられることから、特にアジアや欧米の富裕層にとって、日本の不動産は資産分散先としての魅力を高めています。

高い利回りと収益性

日本の不動産は、特に都心部の賃貸物件や商業用不動産で比較的高い利回りが期待できることから、国内外の投資家にとって魅力的な投資先です。

 

東京や大阪などの主要都市では、安定した賃貸需要があるため、空室リスクが低く、長期的な収益が見込めます。


また、円安の影響もあり、外国人投資家にとって日本の不動産は割安感が強まっており、利回りが高い一方で購入コストが抑えられることも魅力です。

安定した政治と治安

日本の不動産が投資家にとって魅力的なのは、安定した政治環境と治安の良さが背景にあります。

 

日本は、他の多くの国と比較して政治的な不安定要素が少なく、政権交代や政策変動の影響を大きく受けることがありません。

 

これは不動産投資において重要なリスク管理の面で大きなメリットです。


また、日本は世界でもトップクラスの治安を誇り、犯罪率が低く、都市部でも安心して生活ができる環境が整っています。

 

このことから外国人の富裕層や企業が、日本の不動産を安全な投資先として選ぶことが増えています。

外国人の不動産所有規制の緩さ

日本の不動産市場が外国人投資家にとって魅力的な理由の一つに、所有に関する規制の緩さがあります。

 

多くの国では、外国人による不動産購入に制限が設けられていたり、追加の税負担が課されたりしますが、日本では外国人も日本人と同様に不動産を所有できます。

 

また、日本には外国人専用の購入手続きや特別な登録が必要ないため、手続きも比較的スムーズです。

円安と将来のキャピタルゲイン

円安が進行している状況で日本の不動産市場は、外国人投資家にとって魅力的な投資先です。

 

為替レートの影響で、日本の不動産を割安で購入できるため、将来円高に振れた際にはキャピタルゲイン(売却益)を得られる可能性があります。


また、日本の不動産価格が安定的に推移していることもあり、今後インバウンド需要の増加や経済の回復とともに不動産価値が上昇することも期待できます。

今後の展望

インバウンド需要のさらなる増加が予測される中、不動産市場にも新たな展開が期待されています。

 

今後どのような展開があり得そうかを考えてみましょう。

観光地周辺のさらなる不動産需要増加

観光需要が増加し続ける中で、観光地周辺での不動産需要がさらに高まると考えられています。

 

賃貸需要や不動産取得が今後も拡大し、投資家にとっての有望な市場が広がりそうです。

地方都市へのインバウンド需要の波及

大都市圏に集中していたインバウンド需要が地方都市にも波及し、観光資源の豊富なエリアでの不動産需要が期待されます。

 

ただし、観光客を呼び込むためにはその土地ならではの魅力の発信やインフラの整備が必要です。

商業用不動産市場の活性化

インバウンド需要に伴う商業用不動産市場の取引が増加しており、新規開発やリノベーションが進んでいます。

 

それにより観光客のニーズに合わせた商業エリアの発展が期待されています。

海外投資家のさらなる参入

日本不動産市場の安定性と円安の影響により、海外投資家の参入が増加中です。

 

今後は物件取得競争が激化するかもしれません。

まとめ

インバウンド需要の増加は、観光業を支えるだけでなく、日本の不動産市場に多大な影響を与えています。

 

観光地での地価上昇や賃貸需要の増加、さらには海外投資家の参入により、日本の不動産市場は今後も発展が見込まれます。

 

インバウンド需要は、日本不動産市場にとって重要な成長要因として、ますます注目されるでしょう。

この記事を書いた人

DAINICHI 編集部 不動産チーム

DAINICHI 編集部 不動産チームは社内外の有識者により構成されています。不動産の投資、管理、運用、リノベーション、売却、有効活用などの方法について、様々な視点から不動産に関する有益な情報をお伝えします。

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