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不動産オーナーさま向けコラム

賃貸経営でもSDGsに取り組むべき?メリット・デメリットを解説

2023.01.01

SDGsという言葉がニュースなどで取り上げられることが増えたこともあり、さまざまな企業がSDGsに取り組んでいます。

 

不動産業界でも取り組む企業が増えていますが、賃貸経営においては「取り組むメリットがわからない」という方が多く、積極的には取り組まれていません。

 

しかし、賃貸経営においてもSDGsに取り組むことでさまざまなメリットを享受することが可能です。

 

本記事では、SDGsとはどのような取り組みなのか、賃貸経営でSDGsに取り組むメリット・デメリットなどを解説します。

 

賃貸経営しているオーナーの方は、本記事を参考にSDGsの取り組みを検討してみてください。

 

SDGsとは

SDGsとは「Sustainable Development Goals」を略したもので、直訳すると「持続可能な開発目標」という意味です。

 

2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載されている、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標をSDGsと呼びます。

 

なお、SDGsは「17の目標」と「169のターゲット(具体目標)」で構成され、環境問題や貧困の格差、飢餓などさまざまな問題に対処するための目標です。

 

具体的な17の目標は以下のとおりですので、覚えておきましょう。

 

目標

取組内容

1.貧困をなくそう

あらゆる場所であらゆる形態の貧困を無くす

2.飢餓をゼロに

飢餓を無くして食料の安定確保と栄養状態の改善を達成し持続可能な農業を推進する

3.すべての人に健康と福祉を

年齢に関係なくすべての人の健康的な生活を実現し、福祉を推進する

4.質の高い教育をみんなに

すべての人に包摂的かつ公平で質の高い教育ができるようにし、生涯学習の機会を促進する

5.ジェンダー平等を実現しよう

ジェンダーの平等を行い、すべての女性と女児のエンパワーメントを図る

6.安全な水とトイレを世界中に

すべての人に安全な水と衛生の利用を可能にして、持続可能な管理を確保する

7.エネルギーをみんなに そしてクリーンに

すべての人に手ごろで信頼できる持続可能かつ近代的なエネルギーの利用ができるようにする

8.働きがいも経済成長も

包摂的かつ持続可能な経済成長、生産的な完全雇用や働きがいのある人間らしい仕事を促進する

9.産業と技術革新の基盤をつくろう

インフラを整備し、包摂的で持続可能な産業化を進めるとともに、技術革新の拡大を図る

10.人や国の不平等をなくそう

国内と国家間の格差を是正する

11.住み続けられるまちづくりを

都市と人間の居住地を「包摂的・安全・強靭」にし、さらに持続可能にする

12.つくる責任 つかう責任

持続可能な消費と生産のパターンを確保する

13.気候変動に具体的な対策を

気候変動の影響に立ち向かうため、緊急対策を講じる

14.海の豊かさを守ろう

海洋と海洋資源を持続可能な開発に向けて保全を行い、持続可能な形で利用する

15.陸の豊かさも守ろう

陸上生態系の「保護・回復・持続可能な利用の推進」を行い、森林の持続可能な管理、砂漠化への対処、土地劣化の阻止や生物多様性損失の阻止を図る

16.平和と公正をすべての人に

持続可能な開発に向けて平和で包摂的な社会を推進して、すべての人に司法へのアクセスを提供する

17.パートナーシップで目標を達成しよう

持続可能な開発に向けて実施手段の強化を行い、グローバル・パートナーシップを活性化する

 

出典:JAPAN SDGs Action Platform | 外務省

 

現在の日本では、上記の目標を達成するべく、政府だけでなく企業もさまざまな取り組みを行っています。

 

身近なところでは紙ストローの使用やペーパーレスなども、SDGsの取り組みの一つです。

 

他にも、主体精力的な企業では、規格外の食品を福祉施設などに無償で提供する取り組みであるフードバンクといった、さまざまな取り組みが行われています。

 

こうした取り組みが多数実施されていることで、SDGsという考え方が普及し、社会の中でも重要視されるようになってきました。

 

今後も、SDGsに関する取り組みは増えていくことが予測され、事業や日常生活などさまざまな場面でSDGsの重要性はより高まっていくと考えられます。

賃貸経営においてSDGs に取り組むメリット

不動産業界においてもSDGsの重要性は高まっています。

 

実際、環境にやさしく自然な素材を使用した建築や周辺環境への影響を最小限にした建築など、取り組みを始めている企業は少なくありません。

 

では、賃貸経営においても、SDGsへの取り組みはなんらかの影響を与えるのでしょうか?

 

当然、賃貸経営にもSDGsに取り組むことで影響を受けます。

 

ここでは、賃貸経営においてSDGsに取り組むメリットについて解説するので、SDGsの取り組みを検討している方は参考にしてみてください。

物件が選ばれやすくなる

全く同じ条件の賃貸物件で、SDGsに貢献する賃貸物件と貢献していない賃貸物件とではがあったら「前者を選ぶ」という入居者が増えています。

 

社会全体がSDGsを意識するようになり、賃貸物件だけでなくモノやサービスを選ぶ際に「社会貢献」や「環境改善への貢献」を判断基準とする方が増えているのです。

 

しかし、SDGsの取り組みだけで物件を選ぶ人は多くはなく、ありません。

 

当然家賃や立地など優良な物件であることのほうが重要です。

 

SDGsに取り組んでいても優良な物件でなかったら意味がありませんないので覚えておきましょう。

融資において有利になる

SDGs に取り組むことで金融機関の融資において有利になる可能性があります。

 

金融機関によっては、SDGsの目標を達成すると金利を優遇するという融資制度や、「環境・社会に」関する事業に使途を限定した限った融資制度を設けているためです。

 

例えば、東邦銀行では「ESG/SDGs貢献型融資」というものがあり、ESG/SDGsに取り組まれる法人または個人事業主に対して通常のより安い金利で事業資金を融資する商品があります。

出典:ESG/SDGs貢献型融資 | 東邦銀行

 

このように、SDGsの取り組みを行うことでより条件の良い融資が利用できる可能性があるため、事業拡大などを考えているオーナーの方はSDGsの取り組みを検討してみてください。

投資家から支持される

投資家からの資金調達もしやすくなる可能性もあります。

 

SDGsやESG(環境・社会・企業統治)をテーマにした企業活動を支持している投資家は多く、そのような企業に対して資金が集まる傾向にあるためです。

 

実際、ESGを重視した投資ファンドもあります。

 

このように、事業拡大などで資金調達を考えているなら、SDGsに取り組むことは重要な要素のひとつになっていると言えるでしょう。

人材採用での効果が期待できる

これは企業や会社にとっての影響になりますが、すでに説明しているとおり、SDGsに関する関心は高まっており、それは人材登用にも影響する可能性が高いです。

 

例えば、就職や転職で会社を選ぶ際に条件などに大きな差がない場合、SDGsの取り組み差がプラスと決め手となるケースがもあります。

 

そのため、SDGsに取り組んでいたほうが優秀な人材を採用できる効果を期待することが可能です。

 

ただし、そもそもの労働条件が悪いとSDGsに取り組んでいても、求人がくる可能性は低いので注意してください。

賃貸経営でSDGs に取り組むデメリット

メリットが多く取り組む意義もあるSDGsですが、当然デメリットもあります。

 

デメリットを理解しておかないと、せっかくSDGsに取り組んだのにまったくメリットがなかったという事態になりかねません。

 

そのような事態にならないためにも、デメリットを把握してから取り組む必要がありますようにしましょう。

賃貸経営自体に悪影響が出る可能性がある

SDGsの取り組みの中には手間がかかるものも多くあり、取り組み方によっては賃貸経営に悪影響が出る可能性があります。

 

例えば、賃貸経営とシナジーのない取り組みを行っても、手間がかかるだけで賃貸経営には効果がありません。

 

手間に見合った効果を得られるようにするためには、賃貸経営と関連性のあるSDGsに関する取り組みを行うなど事前に計画を立てることが重要です。

 

安易に取り組みを始めるのではなく、しっかりと検討を行ったうえで取り組むようにしてください。

費用がかかる

賃貸経営における代表的なSDGsの取り組みとして、環境に優しい太陽光発電設備の設置が挙げられます。

 

このように環境にやさしい設備の導入や塗料の使用などは非常に魅力的ですが、多額の費用がかかるケースが多いです。

 

そのため、SDGsに関する活動のコスト試算を明確にし、試算したコストを投入しても問題ないのかをよく検討することが重要になります。

 

費用をかけ過ぎてしまい失敗したという事態に陥らないためにも、資金計画を立てるようにしてください。

活動内容が伝わりにくい

SDGsの活動は、自身で発信しないと周囲になかなか伝わりません。

 

このため、賃貸経営の場合も物件の紹介ページにSDGsの取り組みを記載するなど、発信する方法を考えておくことが必要ですです。

 

SDGsの活動はボランティアではないため、賃貸経営に良い影響を与えるためにも、「SDGsの活動と効果的な情報発信」をセットで考えるようにしてください。

賃貸経営におけるSDGsの具体例

賃貸経営でSDGsに取り組みたいと考えていても、「どのような取り組み方があるのかわからない」という方も少なくありません。

 

ここでは、そういった方に向けて賃貸経営におけるSDGs取り組みの具体例を紹介していきます。

太陽光発電を利用する

 

SDGsの目標7-2「2030年までにエネルギー生産に占める再生可能エネルギーの割合を大幅に向上させる」を達成するための方法として、太陽光発電を導入している賃貸物件は少なくありません。

 

太陽光発電は屋根に太陽光発電パネルを設置し、発電した電力を共同住宅で利用することで、環境に大きく貢献することができるという仕組みです。

 

また、物件で使用しなかった電力を売電することで、より環境貢献度の大きい取り組みになります。

 

なお、蓄電機を設置することで電気を蓄えられるようになり、停電が発生した際の電力として利用できるので、入居者にとってもメリットがあります。

間取りを工夫する

建物や人がエネルギー浪費をしないで済むように、照明や空調で余分な電力を使わない間取りを取り入れる導入するだけでも、SDGsの取り組みに繋がります。

 

他にも、住居に使う素材を木材や漆喰、珪藻土など地球にやさしい素材を使用することで、SDGsの取り組みに繋げることも可能です。

 

SDGsの取り組みをしたいオーナーの方が物件の建築やリフォームを検討する際は、間取りや素材を工夫することを検討してみてください。

外国の方や高齢者という理由で入居を断らない

SDGsの目標10は「人と国の間の不平等をなくすこと」を目指しています。

 

賃貸経営において年齢や国籍を理由に入居審査を通さないことは、SDGsの考え方に反する行為です。

 

反対に、他の入居希望者と同様に家賃を支払う能力があれば受け入れるという姿勢を打ち出すことで、SDGsの取り組みに繋がります。

災害時に貢献できるようにする

SDGsの目標11「住み続けられるまちづくりを」を達成するためには、災害時に貢献できるように備えておくことが重要です。

 

例えば、「井戸などの共有資源を住民や地域住民が利用できるようにする」「災害時に共有スペースを開放する」「非常時に備えて食料・水を備蓄しておく」などが挙げられます。

 

当然、このように災害に対する備えをしておくことは、SDGsに取り組めるというメリットことだけではなくありません。

 

入居者のにとっても安心に繋がり、入居期間が長くなったり入居者が集まりやすくなったりするメリットもあります。

 

SDGsに取り組むことで賃貸経営に良い影響を与える良い事例のひとつです。

寄附型の自販機を設置する

賃貸経営でSDGsを実践するためには、マンションやアパートで寄付型の自動販売機を導入することも有効です。

 

売上の一部をSDGsに積極的に取り組んでいる団体への寄付を供給することで、間接的に貢献することができます。

 

また、フードロスに貢献できる自販機もあり、導入することでSDGsの目標12である「つくる責任、使う責任」に貢献することが可能です。

 

具体的には、2021年1月に食品ロス削減のための自動販売機を北陸コカ・コーラボトリングが提供しています。

 

手軽に取り組みたい方は、このような自販機を賃貸物件に設置することを検討しましょう。

SDGsを実践する際に忘れてはいけないポイント

SDGsを実践する際に忘れてはいけないポイントがあります。

 

このポイントを押さえておかないと、SDGsに取り組んだことで賃貸経営に失敗してしまうという事態にもなりかねません。

 

ここでは、SDGsを実践する際に忘れてはいけない2つのポイントについて紹介します。

住みやすい部屋であることにもこだわる

賃貸経営では住みやすい部屋になるようにこだわることが重要ですが、

 

住みやすい部屋だと入居者が集まりやすくなります。

 

そのため、SDGsにこだわり過ぎて住みにくい部屋になってしまったら本末転倒です。

 

当然ですが、住みにくい部屋では、いくらSDGsに取り組んだとしてもなかなか入居希望者は集まりませんので、SDGsに取り組む前に、安定した賃貸経営ができるようにしておきましょう。

 

費用対効果をよく検討する

SDGsの取り組みには、太陽光発電の導入を筆頭に、多額の費用がかかるものも少なくありません。

 

そのため、費用対効果をよく検討することが重要です。

 

設備導入に費用がかかり過ぎてしまって資金の回収に時間がかかったり、赤字になったりしては意味がありません。

 

SDGsはボランティアではなく、事業と絡めながら継続的に行うことが重要であるため、取り組むことでかかった費用以上のメリットがあるのかを慎重に検討しましょう。

まとめ

SDGsはさまざまな企業が取り組んでおり、賃貸経営においても入居希望者が集まりやすくなるなど、さまざまなメリットがある取り組みです。

 

しかし、多額の費用が必要であっだったり、取り組んだ内容が伝わりにくかったりするデメリットもあります。

 

安易にSDGsに取り組んでしまうと賃貸経営に悪影響を及ぼす可能性もあるため、取り組む前にしっかりと計画を立てておかなくてはいけません。

 

そのため、この記事では、賃貸経営でSDGsの取り組むメリット・デメリットや、SDGsを実践する際に忘れてはいけないポイント、賃貸経営におけるSDGsの事例を解説しました。

 

SDGsに取り組もうと考えているオーナーの方は、本記事を参考にしてみてください。

この記事を書いた人

DAINICHI 編集部 不動産チーム

DAINICHI 編集部 不動産チームは社内外の有識者により構成されています。不動産の投資、管理、運用、リノベーション、売却、有効活用などの方法について、様々な視点から不動産に関する有益な情報をお伝えします。

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