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不動産オーナーさま向けコラム

築30年以上の物件でも収益を出す戦略

2025.01.15

築30年以上の物件は一見リスクが高そうに見えますが、購入費用の安さや高い利回りなどのメリットがあり、適切な戦略を取ることで安定した収益を生む投資先となり得ます。

 

そのために重要なのは、運用計画を明確にすることですが、本記事では、築古物件の魅力やリスクを整理し、成功するためのポイントを詳しく解説します。

築30年以上の物件に投資するメリット

ここでは、築30年以上の物件に投資する具体的なメリットについて解説します。

高利回りが期待できる

築30年以上の物件は、物件価格が新築や築浅物件に比べて購入価格が低いため、家賃収入に対する利回りが高くなりやすい点が大きなメリットです。

 

築古物件は購入価格が抑えられる一方で、賃貸需要が見込めるエリアでは家賃収入を安定的に得られる可能性があり、結果として高い利回りが期待できます。

 

利回りが高い物件では運用効率が良く、資金回収のスピードも速くなる可能性があります。

減価償却による節税効果がある

築年数が古い物件は、税法上の耐用年数が短くなるため、減価償却の対象となる建物部分の価値を短期間で経費化できます。

 

所得税や法人税の課税対象となる所得を圧縮し、納税額を抑える効果が期待できます。

 

法定耐用年数を超えている中古物件の場合の耐用年数の考え方は、法定耐用年数×0.2=耐用年数(1年未満切捨)として計算します。

 

例えば、木造の場合、法定耐用年数が22年であるため、築22年以上経過すると22年×0.2=4年(1年未満切捨)となり、4年の償却期間となります。

 

そのため、短期間で多額の減価償却費を計上でき、課税対象となる所得を減らすことが可能です。

 

ただし、この短期間償却には「デットクロス」と呼ばれるリスクも潜んでいます。

 

デットクロスとは減価償却が終了する(経費計上できなくなる)タイミングと、ローン返済がまだ続いている状態が重なることで、課税所得だけ増えて実質負担が増す現象のことです。

 

このため、デットクロス対策も考慮しなければなりませんが、対策として以下の通りです。

 

●   融資期間と償却期間のバランスを考慮:返済計画を余裕あるものに設定する。


●    修繕やリフォーム計画を見据えて経費を分散:適切な時期にリフォーム費用などの経費計上を行い、収益と経費のバランスをとる。


●    資金繰りに余裕を持たせる:減価償却終了後も手元資金に余力を残しておき、税負担増にも耐えられるようにしておく。

賃貸需要が読みやすい

長期間にわたり運用されてきた物件は、過去の賃貸履歴やエリアの人口動態、周辺の生活環境などのデータが蓄積されているため、将来的な賃貸ニーズを見通しやすいです。

 

周辺の賃貸物件の稼働状況や過去の入退去の履歴を調べれば、物件の空室リスクや適正な家賃相場が把握できます。

 

また、築古物件の多いエリアでは、賃貸ニーズがすでにある程度確立されている場合が多く、安定した需要が期待できます。

 

新興エリアと比較して不確定要素が少なく、リスク管理がしやすい点も投資しやすいポイントです。

 

ただし、過去の実績が将来も続くとは限らないため、エリアの将来的な開発計画や人口の増減など、外部環境の変化も考慮しながら、投資判断を行うことが重要です。

 

複数物件を確保しやすい

築30年以上の物件は比較的安価なため、同じ予算内で複数の物件を購入しやすいです。

 

不動産投資では、単一の物件に資金を集中させるよりも、複数の物件に分散投資することでリスク管理がしやすくなります。

 

複数物件を取得し地域や物件タイプを分散させることで、空室リスクや修繕費用の負担を軽減する効果が期待できます。

 

仮に1つの物件で空室が発生しても、他の物件の家賃収入で補えるため、収益の安定性が高まります。

 

ただし、物件が増えると管理や修繕の手間も増えるため、信頼できる管理会社の選定や管理体制の整備が重要です。

レトロな魅力や独自性を活かして付加価値創出できる

築古物件ならではの趣ある外観やレトロな間取りなどを活かせば、新築物件にはない魅力を演出できるケースもあります。

 

●   リノベーションで個性を引き出す:古き良きデザインを活かした内装にすることで、他物件との差別化が可能。


●   店舗併設やシェアハウスへの転用:立地や物件の個性次第では、店舗用スペースやシェアハウスとして活用し、新たな収益モデルを築くことも考えられる。

 

こうした付加価値を加えることで、家賃単価のアップや長期入居につなげられる可能性があります。

キャッシュフローが安定しやすい

築古アパートや築古物件は、その価格や家賃水準、前述した歴史あるエリアで賃貸需要が根強いことなどから、キャッシュフローが安定しやすいというメリットがあります。

 

特に築古アパートが良好なキャッシュフローを保ちやすい理由としては、以下の3つが挙げられます。

 

●   不動産価格の下落リスクが低い:築古で物件価格がすでにある程度下がっているため、経年による大幅な価格下落リスクが小さい。


●    家賃が安いことで長期居住者が増えやすい:新築や高価格帯に比べて家賃が抑えられている物件は、費用面の魅力から長期間住み続ける入居者が多く、安定収益を得やすい。


●    収支を予測しやすく、有効な対策が立てられる:過去の修繕履歴や周辺の家賃相場データが豊富にあるため、空室対策やリフォーム計画を立てやすく、結果的にキャッシュフローを維持しやすい。

 

これらの要素が組み合わさることで、築古物件の運用では予想外の大幅な家賃下落や価格変動のリスクを抑えつつ、安定した収益構造を築きやすくなるのです。

築30年以上の物件運用のデメリット

築30年以上の物件には多くのメリットがある一方で、避けられないデメリットもあります。

 

物件の老朽化や市場環境の変化に備え、事前にリスク要因を把握しておくことが重要です。

修繕コストがかかる

築30年以上の物件は、建物や設備の老朽化による修繕費用が発生するリスクが避けられません。

 

年月が経つと、屋根や外壁、給排水管、電気設備などが劣化し、定期的な修繕や交換が必要になります。

 

特に、外壁のひび割れや屋根の雨漏りといった外装の劣化は美観を損ない、入居者の満足度低下や空室リスクを招くだけでなく、建物躯体自体へのダメージにもつながるため早めの対応が必要です。

入居者を見つけるまでに時間がかかる

築30年以上の物件では、建物の古さが入居希望者にとってマイナス要素となり、入居者募集に時間がかかる可能性があります。

 

賃貸市場では、新しい設備やきれいな内装が重視されるため、築古物件は競合物件と比較された際に選ばれにくく、空室期間が長引くリスクがあります。

 

特に、間取りが古かったり、バス・トイレなどの設備仕様が時代遅れだったりすると、現代のライフスタイルに合わないと見なされ、入居希望者から敬遠されがちです。

 

また、インターネット対応設備や防犯対策が不十分な場合も、選ばれにくい要因となります。

家賃が安くなり収益があがらない

建物の老朽化によって家賃が下がり、期待していた収益を得られない可能性があります。

 

築古物件は外観の劣化や設備の古さが目立ちやすく、入居希望者に対する物件の魅力が低下するため、家賃を下げざるを得ないケースが多いです。

 

特に、間取りが古い、バス・トイレが別になっていない、キッチンが狭いなど、現代の生活スタイルに合わない仕様の物件は入居希望者から敬遠されやすく、家賃設定の引き下げを迫られる可能性があります。

 

また、共用部の管理状態が悪かったり、セキュリティ設備が不十分だったりすると物件の競争力がさらに低下し、家賃収入の減少につながります。

耐震性能が不十分な場合がある

築古物件は耐震性能が不十分な場合が多く、地震対策が必要な場合があるので注意が必要です。

 

日本では1981年に耐震基準が大幅に改定されており、2000年にも建築基準法が改正されました。

 

30年以上前に建てられた物件は古い耐震基準に基づいているため、現在の基準を満たしていない可能性があります。

 

このため、大地震が発生した際には、建物の倒壊や重大な被害が発生するリスクが高まります。

 

不十分な耐震性能は、入居希望者にとって安全性に対する不安材料となり、賃貸需要の低下や家賃の引き下げにつながる要因です。

 

また、金融機関からの融資審査でも不利に働く場合があり、物件購入時の資金調達に支障をきたすリスクも考慮しなければなりません。

 

さらに、耐震性能の向上を図るためには、耐震診断や耐震補強工事を実施する必要があり、これらには多額の費用がかかる場合があります。

セキュリティ面の不安がある

古い物件では建築当時の設計基準や技術水準に基づいているため、最新の防犯設備が導入されていないケースが多く、犯罪のターゲットになるリスクが高まる懸念があります。

 

オートロックや防犯カメラが設置されていない集合住宅では、部外者の侵入を防ぐことが難しく、安全性が不十分であると思う入居者も多いです。

 

セキュリティが不十分な物件は、入居者から敬遠される要因となり、空室期間の長期化や家賃の引き下げにつながるリスクも考えられます。

ローン審査が通らない、条件が悪くなる

金融機関からのローン審査が通りにくくなる、または融資条件が悪化するリスクも考えておかなければなりません。

 

物件の老朽化により、担保評価が低く見積もられるため、借入額が制限されたり、金利が高く設定されたりすることがあります。

 

特に、耐震性能が旧基準の場合や大規模な修繕が必要な物件では、評価が大幅に下がる可能性があります。

 

そのため、希望する融資額が得られないことや、自己資金の割合が増えるケースも考えられます。

 

また、金融機関によっては築年数の上限(構造による耐用の残存年数など)を設けている場合もあるため、融資対象外になる場合もあります。

 

このように、築古物件の購入には、資金調達の難しさや高い借入コストといった課題が伴うため、事前に金融機関と相談して確認する必要があります。

売却しにくい

築30年以上の物件は、老朽化による資産価値の低下から、売却時に希望する価格で売却できない可能性が高くなります。

 

さらに、築古物件は修繕リスクが高いと判断されやすく、物件の状態が悪ければ追加のリフォーム費用を考慮した価格交渉が避けられません。

 

特に、耐震性能が旧基準の場合や、外壁や屋根など外観部分の劣化が目立つ物件は、買い手がつきにくくなります。

 

また、融資の際の築年数の制限を設けている金融機関もあるため、購入希望者がローン審査に通らず、購入を断念するケースも少なくありません。

 

築30年以上の物件は売却の難しさがあるため、資産の出口戦略を慎重に考える必要があります。

築古物件投資における「長期戦略」の重要性

ここからは、築古物件を長期間運用するうえで欠かせない「長期戦略」について解説します。

 

短期的な利回りだけではなく、10年・20年先の収益や資産価値を見据える発想が求められます。

長期視点でのキャッシュフロー

築古物件を長期間運用していくうえでは、短期的な利回りだけに目を向けるのではなく、10年・20年先の収益や資産価値まで考慮する「長期戦略」が欠かせません。

 

まず、長期視点でのキャッシュフロー管理においては、短期償却後にローン返済と税負担増が重なる「デットクロス」のタイミングを想定し、あらかじめ資金繰りを計画しておく必要があります。

 

また、家賃収入が安定している時期には余剰資金を積立て、大規模修繕や設備の故障に備えることで、長期的に見ても安定した運用が可能になります。

資金計画と返済シミュレーション

資金計画と返済シミュレーションでは、借入期間と減価償却期間のバランスに配慮しなければなりません。

 

融資期間が極端に短くなると返済の負担が増すだけでなく、デットクロスのリスクも高まります。

 

さらに、複数の物件を購入して地域や物件タイプを分散することで、需要変動のリスクを抑え、長期にわたり安定した収益を確保しやすくなるためです。

 

このため、事前にしっかりと資金計画を立てるようにしてください。

物件価値維持と出口戦略

物件価値を維持していくためには、適切なリノベーションを行い、古くなった設備を刷新することで空室率の上昇や家賃の下落を防ぎ、長期的な収益力を高める努力が必要です。

 

また、築古物件を長く保有することを前提としながらも、市場環境が好転したタイミングで売却や譲渡を検討できるように、日頃から物件の管理・整備を怠らないことが重要になります。

 

このように、築古物件投資では長期戦略を意識することで、築古特有のリスクを最小化しながら長期間にわたって安定したキャッシュフローを得やすくなるのです。

築古物件の賃貸経営を成功させるためのポイント

築30年以上の物件でも成功するためには、物件選びから管理体制の構築まで、事前の準備と計画が欠かせません。

物件の状態や将来性を十分に調査する

物件の購入前に物件の状態や将来性を十分に調査することが不可欠です。

 

物件の構造や設備の劣化具合を見極め、必要な修繕や改修の有無を確認すれば、予期せぬ出費を回避できます。

 

屋根や外壁のひび割れ、給排水管の劣化、電気設備の老朽化、シロアリ被害など、建物の基礎的な部分を専門家に調査してもらうと安心です。

 

また、耐震性能の診断も重要なポイントです。


耐震性能が低い物件は、地震発生時のリスクが高く、物件の資産価値にも影響します。

 

購入前に物件の構造や設備の状態を詳細に調査し、将来的な資産価値の見込みも考慮に入れてから投資をしましょう。

経験豊富な管理会社を確保する

築古物件は修繕や入居者対応の頻度が高くなるため、適切な管理が求められます。

 

管理会社が担当する業務は、賃貸募集から入居者対応、家賃回収、クレーム処理、共用部の清掃・管理まで幅広いです。

 

経験豊富な管理会社であれば、空室対策として効果的な広告戦略や、ターゲット層に応じた家賃設定の提案も行ってくれます。

 

また、修繕が必要な場合も、管理会社が業者選定から工事の進捗管理まで一貫して対応できるため、オーナー自身が手配する手間が省けて効率的です。

 

築古物件では設備の老朽化によるトラブルが避けられないため、迅速な対応が可能な管理会社の存在は不可欠です。

修繕やリフォームの知識を身につける

物件の老朽化は避けられず、修繕工事やリフォームが必要になる場面が多いため、オーナー自身が修繕やリフォームの基本知識を身につけることが重要です。

 

基本的な知識を持っていれば、必要な工事の優先順位を見極められ、劣化が進む前に対処できるため、結果的に修繕費用の削減が可能です。

 

また、リフォームについても、物件の魅力を向上させる工事内容を理解していれば、入居者ニーズに応じた物件改善がスムーズに行えます。

十分な資金を用意する

築古物件は、建物の老朽化に伴う修繕費や設備の交換費用が避けられません。

 

これらの出費は突発的に発生することが多く、資金に余裕がないと物件運営が滞り、収益悪化につながります。

 

また、空室期間が長引いた場合は、家賃収入が途絶える一方で、固定資産税や管理費などの支出が継続するため、運転資金を確保しておく必要があります。

まとめ

築30年以上の物件は、購入費用の安さや高利回り、減価償却による節税効果など、多くのメリットがある反面、デメリットがあることも頭に入れておく必要があります。

 

購入する前には、物件の状態や賃貸需要を徹底的に調査し、信頼できる管理会社と連携することが重要です。

 

また、修繕やリフォームの知識を身につけ、予期せぬ出費に備えて十分な資金を確保することで、リスクを最小限に抑えられます。

 

築古物件の投資で成功するには、戦略的な運営をすることが重要なポイントです。

この記事を書いた人

DAINICHI 編集部 不動産チーム

DAINICHI 編集部 不動産チームは社内外の有識者により構成されています。不動産の投資、管理、運用、リノベーション、売却、有効活用などの方法について、様々な視点から不動産に関する有益な情報をお伝えします。

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