お問い合わせお問合せ

MENU

資産活用、賃貸管理、大規模修繕のダイニチ

不動産オーナーさま向けコラム

マンションの給排水管の更新・更生工事を徹底解説

2024.11.01

マンションの給排水管は、住民の生活を支える重要な設備です。

 

しかし時間が経つにつれて劣化は避けられません。

 

場合によっては漏水などのトラブルが発生することがあります。

 

特に築年数の経ったマンションでは、給排水管の更新や更生工事が必要になることは多いでしょう。

 

マンション生活に欠かせない給排水管ですが、工事の種類や進め方を詳しく知っている人は意外と少ないかもしれません。

 

この記事では、給排水管の基本的な役割や、更新工事と更生工事の違い、工事の進行方法、そして工事を成功させるためのポイントについてわかりやすく解説します。

給排水管の役割と劣化の原因

普段あまり意識されることはありませんが、給排水管はマンションの住民にとって重要なインフラ設備です。

 

ここでは、給排水管の役割と、それがどのように劣化していくのかについて解説します。

給排水管の基本的な役割

マンションの給排水管は、住民の日常生活を支える重要なインフラです。

 

給水管は建物内に清潔な水を供給し、飲み水や生活用水として使用されます。

 

キッチンでは調理や皿洗い、バスルームではシャワーや入浴、トイレの洗浄や洗濯など、さまざまな場面で活用されています。

 

一方、排水管は、使い終わった水を安全に建物の外へ排出する役割を担っているものです。

 

排水システムが正常に機能していることで、住民は安心して日常生活を送ることができますが、少しでも不具合が起これば、住環境に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

給排水管は建物の目に見えない部分に設置されているため、普段その存在を意識することはあまりないかもしれません。

 

しかし、もし漏水や詰まりといったトラブルが発生すれば、階下の住民にも迷惑を与え、建物全体の安全性や快適さが損なわれる恐れがあります。

 

そのため、給排水管が正常に機能していることは、マンション全体の住環境と資産価値を守る上で非常に重要な要素です。

給排水管の劣化要因

給排水管の劣化には、いくつかの主要な要因があります。

 

その中でも特に影響が大きいのが使用部材による経年劣化です。

 

給排水管は使用されるたびに少しずつ劣化していきます。

 

例えば、築30年を超えるマンションでは配管が古くなり、内部が腐食していることが多いですが、この腐食が進むと水漏れや詰まりが発生しやすくなります。

 

さらに、温度変化も配管にダメージを与える要因の一つです。

 

特に冬場の寒冷地では、配管内の水が凍結して破裂する恐れがあります。

 

季節による温度変化の影響で配管が変形し、長期間使用することでひび割れや劣化が進行するケースも多いです。

劣化が及ぼす影響

給排水管の劣化を放置しておくとマンション全体にさまざまな問題を引き起こします。

 

最大のリスクは漏水です。

 

鉄の配管の場合、配管の内部が腐食すると、やがて穴が開き、水が漏れ出す可能性が高まります。

 

漏水が広がると床や壁が浸食され、最悪の場合、建物の構造そのものに影響を与えることがあります。

 

その結果、大掛かりな修繕工事が必要になることも少なくありません。

 

また、給排水管の劣化が進むと、水質の悪化も避けられません。

 

例えば、給水管の内部が錆びてくると、細かい錆が水に含まれることがあります。

 

これは見た目が悪いだけでなく、健康に悪影響を及ぼす可能性もあるため無視できない問題です。

 

さらに、排水管の劣化は詰まりや悪臭の発生につながります。

 

排水がスムーズにいかなくなると、水が逆流したり、悪臭が漂ったりすることがよくあります。

 

これらのトラブルを放置すれば問題は悪化し、修繕がさらに難しくなる可能性が高くなるため、早期の対策が必要です。

給排水管の更新工事とは

更新工事は、劣化した給排水管を完全に新しい配管に交換する作業です。

 

配管の老朽化が進んでいる場合に実施されます。

 

特に、築30年以上のマンションでは、建物全体の配管が古くなっているケースが多く、この工事が必要になることが少なくありません。

 

更新工事の大きなメリットは、配管全体を新しく交換できる点です。

 

一度更新すれば、しばらくの間、給排水管のトラブルに悩まされることはほとんどなくなります。

 

最新の素材を使用した配管は耐久性が高く、30年以上の耐用年数を持つものも多いため、長期的な安心感が得られます。

 

しかし、更新工事には高額なコストが伴うケースが多いです。

 

材料費や工事費用に加え、マンション全体で実施する場合はさらに費用がかさむため、事前にしっかりと予算を確保しておくことが大切になります。

 

また、工事の規模が大きいため、工期が長期化し、住民に一時的な不便を強いることもあります。

 

給排水管の利用が制限される期間が発生するため、住民への丁寧な説明と合意形成が不可欠です。

 

更新工事をスムーズに進めるためには、計画的な進行と住民への配慮が重要です。

 

工事計画を事前にしっかり立て、住民に影響を最小限に抑えるスケジュールを組むことが求められます。

 

信頼関係を築きながら進めることで、マンション全体の快適な生活環境を維持できるでしょう。

給排水管の更生工事とは

更生工事は、既存の配管を再利用し、内部に特殊なライニング材を塗布して補強する工事です。

 

この方法は、配管に錆が起きてはいるが、穴が開くほどでない場合に施工できる工法で、配管を取り替える必要がないため、工期が短く、コストが抑えられます。


特に大掛かりな工事を避けたい場合や、予算に限りがある場合に有効な工法です。

 

ただし、更生工事には適用できる条件があります。

 

例えば、配管が極度に腐食している場合や、配管そのものに構造的な問題がある場合には、更生工事では対応できず、更新工事が必要です。

 

更生工事はコストや工期を抑えながらも、配管の延命を図るための有効な方法ですが、配管の状態によっては更新工事の方が適している場合もあります。

 

事前の配管調査や診断をしっかりと行った上で、最適な工法を選ぶことが重要です。

更新工事と更生工事の比較

更新工事と更生工事には、それぞれ異なる特徴があります。

 

費用、工期、配管の寿命など、さまざまな観点で両者を比較してみましょう。

費用の比較

費用に関しては、更新工事と更生工事では大きな差があります。

 

更新工事は、古い配管をすべて新しいものに交換するため、一般的に高額な費用がかかる工法です。

 

特に、共用部以外のマンション全体での工事となると、壁や床を取り壊して配管を設置し直す必要があるため、建物の構造に手を加える範囲が広がり、それに伴って費用も増加します。

 

また、建物全体の配管交換となると、人件費や材料費もかさむため、工事全体のコストが膨らむ原因にもなります。

 

一方で、更生工事は既存の配管をそのまま利用するため、コストを大幅に抑えられるのがメリットです。

 

内部にライニング材を塗布するだけで配管の錆を撤去できるため、建物の壁や床を壊す必要がなく、外観や内装に大きな変更を加えることもありません。

 

ただし、更生工事は更新工事に比べて耐用年数が短く、短期的なコストを抑えたい場合は更生工事が有利ですが、長期的な視点で見た場合、更新工事の方が結果的に経済的であることも少なくありません。

 

そのため、費用面だけでなく、物件の劣化状態や長期的な運用を考慮して最適な工事を選択することが大切です。

工事期間と影響の比較

更新工事は、配管全体を新しいものに交換するため、どうしても工期が長くかかることが多くなります。

 

特に、マンション全体での更新工事となると、各部屋の壁や床を一度壊して新たに配管を設置する作業が必要です。

 

そのため、工期は数週間から数ヶ月に及びます。

 

この間、住民は工事の影響を受けることになり、水の供給が一時的に止まるなど、生活に不便が生じる場面も少なくありません。

 

特に、生活に必要なキッチン、バスルームやトイレが使えなくなる期間が発生するため、住民にとっては大きな負担となります。

 

一方で、更生工事は既存の配管をそのまま利用するため、工事期間が非常に短く、住民への影響も最小限に抑えることが可能です。

 

配管を取り替えるのではなく、内部の補修作業だけで済むため、工期は数日から1週間程度で完了することがほとんどです。

配管寿命の比較

更新工事で使用される新しい配管は、最新の素材を用いるため、耐久性に優れており、耐用年数は30年以上とされています。

 

一度更新工事を行えば、長期にわたり配管に関するトラブルを心配する必要がありません。

 

新しい配管の導入により、住民は安心して生活を続けることができ、建物全体のメンテナンスコストも抑えられるでしょう。

 

尚、ライニング材を用いた補修によって配管の寿命を延ばすことは可能ですが、更新工事と比べると、どうしても耐用年数は短くなります。

給排水管工事の進め方

マンションの給排水管工事を進める際には、いくつかの段階を踏んで計画的に進行させることが重要です。

 

大まかな流れは以下の通りです。

 

1.    現状診断と工事方法の決定
2.    工事業者の選定と契約
3.    住民への説明と合意形成

 

それぞれのステップについて解説します。

現状診断と工事方法の決定

工事を始める前に、まずは配管の状態を正確に診断することが第一のステップです。

 

一般的な劣化診断は、ファイバースコープ等のカメラを使った内部調査や配管を部分的に抜管して錆や汚れ、腐食の進行具合を直接確認します。

 

そのほか、圧力テストとして配管に水圧をかけ、漏水が発生していないか、配管がどれほど健全に機能しているかを調べます。

 

このテストをすることで、配管に目立たない微小なひび割れや劣化のサインを見つけることが可能です。

 

どの工事方法が最適かを選択するためには、現状の正確な把握が欠かせません。

 

そのため、配管の状態を詳しく調査し、専門業者と打合せのうえ最適な工事方法を選択するようにしましょう。

工事業者の選定と契約

工事業者を選ぶ際には、いくつか押さえておきたいポイントがあります。

 

まず最も重要なのは、信頼できる業者を選ぶことです。

 

経験が豊富で実績のある業者に依頼すれば、質の高い工事が期待できます。

 

選定時には、複数の業者から見積もりを取り、価格だけでなくサービス内容や保証も比較することが肝心です。

 

コスト面での判断だけではなく、提供されるサービスやアフターケアの有無なども考慮し、総合的に最適な業者を選びましょう。

 

また、契約時には工事の詳細をしっかり確認することが不可欠です。

 

工事のスケジュールや内容、費用の内訳を明確に把握し、曖昧な点がないようにしておくことが大切です。

 

特に、施工中に予想外の事態が発生した場合、どのように対応するのかについても話し合っておくと良いでしょう。

 

さらに、アフターサービスや保証内容の確認も忘れてはいけません。

 

工事が完了した後に不具合が生じた場合、すぐに対応してもらえるかどうか、保証期間や範囲がどこまでカバーされるのかを契約前にしっかり確認しましょう。

 

こうした事前の準備が、工事後のトラブルを未然に防ぐために非常に重要です。

住民への説明と合意形成

マンションの給排水管工事は、すべての住民に影響を与えるため、工事を進める前に十分な説明と合意を得ることが不可欠です。

 

まずは説明会を開き、工事の目的や必要性、具体的なスケジュール、そして工事による居住者の生活への影響について詳しく説明しましょう。

 

住民がどのような不便を感じるか、事前にしっかり伝えておくことが大切です。

 

住民の理解を得ることができれば、工事中のトラブルを未然に防ぐことができ、作業もスムーズに進みます。

 

特に、騒音や一時的な断水などの生活に直結する問題については、具体的な対策や対応を示すと、住民の不安も軽減されます。

 

また、説明会では住民からの質問や意見にも真摯に対応することが重要です。

 

住民一人ひとりが感じる不安や疑問を丁寧に解消することで、協力的な体制を築けるでしょう。

給排水管工事の注意点

給排水管工事を実施する際には、以下のポイントに十分注意することが大切です。

 

1.    工事前の事前準備
2.    工事中の安全管理
3.    工事後の点検とメンテナンス

 

それぞれ詳しく見ていきましょう。

工事前の事前準備

工事を開始する前に、しっかりとした準備を行うことが重要です。

 

まず、工事中は水の供給や排水が一時的に停止する可能性があるため、その際の代替手段を考慮する必要があります。

 

住民がいつ、どのように水を使用できるかを理解していれば、事前に準備ができるため不便さが軽減されるでしょう。

 

また、工事による騒音や振動が住民に与える影響を最小限にするための対策も欠かせません。

 

特に、騒音が発生する時間帯や振動の大きい作業については、事前に通知しておくことで住民の理解を得やすくなります。

 

こうした配慮を見せることで、住民も工事に対して協力的になることが期待できます。

工事中の安全管理

工事中の安全管理は、作業員だけでなく住民の安全を守るためにも非常に重要です。

 

特に、開口した部分の保護や資材の管理には、細心の注意を払う必要があります。

 

また、騒音や振動の管理も、住民の快適さを保つために非常に重要なポイントです。

 

例えば、騒音を伴う作業はできるだけ短時間で終わらせるようにスケジュールを調整したり、振動を抑えるための機材を使用したりするなどの工夫が必要です。

 

事前にこうした対策を住民に説明し理解を得ることで、工事中のトラブルを防ぐことにつながります。

 

また、防犯上の対策も重要になります。

 

多くの作業員が出入りしての作業になるため、居住者からすれば、知らない人物が出入りすることになるため、防犯については、施工者側の防犯についての配慮がどのようになるか事前に確認する必要があります。

工事後の点検とメンテナンス

工事が完了した後も、定期的な点検とメンテナンスを行うことが非常に重要です。

 

また、工事を実施した場合は、10年おきくらいには配管の状態を定期的に確認することが必要です。

 

どんなに耐久性が高い配管でも、まれに漏水や詰まりが発生することがあるため、これを未然に防ぐための定期点検は欠かせません。

 

排水管は、年に1回の排水管洗浄を行い、排水管を清潔に保つことも重要です。

まとめ

マンションの給排水管の更新・更生工事は、住民の安全と快適な生活を守るために欠かせません。

 

長年使用することで給排水管の劣化は避けられませんが、今現在は問題が起きていないとしても適切なタイミングでの工事により、深刻なトラブルを未然に防げます。

 

更新工事と更生工事の違いをしっかり理解し、費用や工期、そして住民への影響を総合的に考慮して、最適な選択を行うことが大切です。

 

どちらの工事を選ぶにしても、長期的な視点で計画的に取り組むことが重要です。

 

適切な給排水管の保守工事は、見落としがちですが、マンション全体の未来を支える大切なステップとなるでしょう。

この記事を書いた人

DAINICHI 編集部 不動産チーム

DAINICHI 編集部 不動産チームは社内外の有識者により構成されています。不動産の投資、管理、運用、リノベーション、売却、有効活用などの方法について、様々な視点から不動産に関する有益な情報をお伝えします。

関連記事こちらの記事も合わせてどうぞ。

PAGETOP