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不動産オーナーさま向けコラム

空き家税とは?所有している空き家の活用方法も解説

2023.11.01

相続などで不動産を取得した場合、既に自宅を所有していると使用の用途に困り、結果として空き家になってしまうケースがあります。

 

空き家のまま放置すると予期せぬ問題が生じる可能性があり、「非住居住宅利活用促進税」、通称「空き家税」と呼ばれる税金がかかってくる場合もあります。

 

この記事では、空き家課税の詳しい仕組みや、課税を回避するための空き家の活用方法について紹介します。空き家の取り扱いで迷っている方は、ぜひ参考にしてください。

空き家には意外に高い税金がかかる

空き家は光熱費や設備の交換などの負担もないので、一見、放置していても問題ないように思えます。

 

しかし、近年の政策動向を見ると、空き家に対する特別な固定資産税の課税が増えてきました。では、なぜこのような税金が空き家に課されるのでしょうか?

 

1. 若年層や子育て世帯の市外流出を防止するため
空き家などの非居住住宅が住宅供給を妨げているため、空き家となった不動産の売却や建替え等を促し、若年層や子育て世帯への住宅供給を増やす狙いがあります。

 

2. 財源を確保し持続可能なまちづくりをしていくため
確保した税金を空き家の活用を支援していくための将来的な費用にあて、住宅供給の促進、安全な生活環境の確保、地域コミュニティの活性化等を図るためです。

 

以上のように、空き家の活用促進とその経費の確保を目的とし、空き家の所有者に新たな負担を求めることになりました。

導入される予定の空き家税

2026年以降に、京都市で全国初となる「空き家税」の導入が決定していますが、他の自治体への展開も見込まれています。

 

「空き家税」とは、空き家の所有者を対象とした課税制度で、「家屋価値割」と「立地価値割」の2つから税額を算出します。

 

京都市の考えるところでは、特に空き家の所有者に税を課することで、放置されている「空き家」の有効活用が促進されるとしています。

課税免除の特例

空き家を所有している場合でも、特定の条件を満たすと空き家税の課税を免除されることがあります。

 

以下に主な免除条件を列挙するので確認してください。

 

1.    事業用として活用しているもの、または1年以内に事業用として活用を予定しているもの
例》古民家をカフェやシェアハウスとして活用する計画など
2.    賃貸や売却を予定しているもの
ただし、1年を経過しても契約に至らなかったもの及び、事業用のものは除く
3.    固定資産税が非課税または課税免除とされているもの
4.    文化的・歴史的価値のあるもの
例》築100年以上の古民家など

 

ただし、免除条件に該当しなくなった場合、再び課税される可能性があるため注意が必要です。

空き家税とは別!固定資産税が最大6倍になる特定空き家

平成27年に施行された「空き家等対策の推進に関する特別措置法」は、京都市の取り組みとは異なる国の方針です。

 

この法律は、空き家対策を強化する目的で制定されました。この法によれば、特定の条件を満たす空き家、いわゆる「特定空き家」の固定資産税が最大で6倍に引き上げられる可能性があります。

 

では、「特定空き家」とは具体的にどのような物件を指すのでしょうか?主な条件は以下となります。

 

1.    放置すれば保安上の危険のおそれがある状態
例》壊れかけており放置されている物件など
2.    放置すれば著しく衛生上有害となるおそれがある状態
例》環境が劣悪で、近隣の衛生に害をおよぼすおそれがある物件など
3.    著しく景観を損なっている状態
例》管理が不十分な廃墟のような物件など
4.    その他周辺の生活環境の保全のために放置することが不適切である状態

 

特に1及び2に該当する空き家については、将来にかけて予見される状態も含まれるため、注意が必要です。


これらの条件を満たす空き家は「特定空き家」として認定され、固定資産税が最大6倍に引き上げられる可能性があります。

 

なお、2023年6月14日には上記の「特定空き家」のみならず、適切な管理が行われておらず将来的に特定空き家になる可能性があるとされる「管理不全空き家」も固定資産税が最大6倍になるという改正法が交付されました。

 

具体的な施行時期は不明ですが、改正法の施行は交付後6ヶ月以内と決められているため、上述の空き家として認定されないよう何らかの対策を打つ必要があります。

空き家税をかからないようにする方法

所有する空き家にかかる税金を最小限に抑えるためにはどのような対策を講じるのが良いでしょうか。

 

ここでは、空き家税の対策について解説します。

売却

当然ですが、売却により物件の所有者でなくなれば、その物件の納税義務もなくなります。

建物を解体

空き家税は建物がある場合にのみ課税されるため、建物を解体することでこの対象から外すことができます。

 

ただし、建物を解体後に更地のまま放置すると、更地という扱いでは固定資産税が6倍になってしまうため、解体後は売却をするか新しいアパートを建てるなどの活用が必要となります。

 

ちなみに、解体にかかる費用を軽減するための補助金制度を多くの自治体が設けています。

 

自治体によって条件や内容が異なりますが、定額補助や費用の一定割合を補助する制度などが考えられます。

 

解体を検討する際には、所在地の自治体の補助金制度を確認し、上手に活用すると経済的にも有利です。

賃貸物件へ転用

空き家であっても、1年以内に賃貸を予定していると認められた場合、課税が免除される制度があります。

 

特に物件が築浅、または交通機関、スーパー、学校などの生活施設に近い場合、賃貸市場での需要が高いため、賃貸物件への転用がおすすめです。

 

このように、この1年間の猶予期間を利用し、入居者を募集すれば、節税だけでなく、家賃収入も得ることが可能となります。

親族などに住んでもらう

空き家を有効活用する手段として、親族や信頼のおける友人に貸し出す方法も考えられます。

 

親族や近しい友人が住むことで、「特定空き家」としての指定を避け、関連の課税を回避することが可能です。

 

特に親族が住む場合、住宅用地の特例の維持も期待できます。

 

また、知人や親族に家を貸すことで、見知らぬ他人に貸すのと比べて安心感が得られるという利点もあります。

 

家を探している親族や友人がいれば、この方法は有効と言えるでしょう。

空き家を有効活用する方法とは

空き家を売却したり、賃貸として貸し出したりすることで、確かに空き家課税は回避できます。

 

しかし、それよりも適切な活用により、空き家を収益の源泉とする方がおすすめです。

 

ここでは、空き家の効果的な活用方法について詳しく解説しましょう。

アイデア次第で有効活用が成功する

空き家はその状態や立地に応じて多彩な活用方法が考えられます。

 

特に状態が良好で新築に近い物件や、立地が良い場合には、取り壊しはもったいないでしょう。

 

このような物件は、リフォームや修繕を行うことで賃貸として有効活用することが可能です。

 

活用方法の例としては、以下のような方法が挙げられます。

 

●    シェアハウス
●    カフェ・店舗
●    民泊

●    コワーキングスペース

 

一方、空き家の状態が悪い、または新耐震基準を満たしていない場合、維持管理のコストや手間を考えると、物件を取り壊して土地のみを活用する方法も考慮に入れるべきです。

 

取り壊し後の活用方法として以下のような方法が挙げられます。

 

●    アパート・マンション経営
●    駐車場経営
●    事業用地としての貸し出し

 

建物を取り壊して新たに建て替える方法は初期費用がかかるものの、長期的には定期的な収入が期待できます。

ユニークな活用方法

空き家の活用はアイデア次第で可能性が広がります。

 

例えば、空き家を活用したカフェ開業は、効果的かつ手軽な方法として、今のトレンドの一つとなっています。

 

特に、古民家をカフェにリノベーションする場合、そのオリジナルの調度品や骨董品を店内デコレーションとして利用することで、訪れるお客様に古民家カフェ独特の落ち着いた雰囲気を提供できます。

 

さらに、カフェの開業は他のビジネスに比べて初期投資が低く、許可取得も容易です。主要な条件としては、厨房の衛生基準の確保程度です。

田舎の空き家活用の事例(空き家バンク)

田舎の空き家問題は、都会とは異なる背景が存在します。空き家が増加している背景には、高齢化や都会への移住といった要因があります。

 

だが、その一方で、古民家を含む田舎の空き家は、広大な土地や歴史的な魅力から、都会の若者たちの間における新たな関心の対象であるのも事実です。

 

現在、空き家バンクの導入により、求める物件や入居者を効率的にマッチングすることが可能となっています。

 

そして、これらの空き家をカフェ、シェアハウス、アートスペースなど新しい形で再活用する動きが活発化しており、地域再生や観光資源としてのポテンシャルが拡大していると言えるでしょう。

■空き家バンクの仕組み

 

空き家バンクは、空き家の情報を地方公共団体のホームページ上で公開する制度です。

 

行政は、地元住民からの情報提供を基に、移住や交流を希望する人向けに物件情報を整理・提供しています。

■空き家の維持と注意点

 

空き家を維持する際の注意点として、建物内の定期的な換気が挙げられます。

 

長期間の放置により、換気が不十分な空き家は内部の劣化が進行するため、定期的なチェックと対策が必要です。

 

また、建物がある敷地内においても庭の草木の管理や不法投棄への対応も注意点となります。

■空き家の付加価値創出

 

特に価値の高い空き家、例えば元旅館のような物件は、取得後にリノベーション前からSNSなどでの情報発信を行うことで、成功の確率を上げることが可能です。

 

この手法により、支援者やファンの獲得が期待でき、物件への親近感を高められるため、新規開業時の集客やクラウドファンディングでの資金調達がスムーズになります。

まとめ

「空き家税」を導入することが、今は京都市限定の取り組みとして始まっていますが、他の自治体も将来的にこの制度を採用する可能性が考えられます。

 

それとは別に、全国的な法律においても、一定の基準を満たす「特定空き家」として指定されてしまうと、固定資産税が最大で通常の6倍になる制度が存在します。これも非常に大きな負担です。

 

しかしながら、空き家を上手く活用することで、このような課税のリスクを回避することは可能です。例えば、建物や土地を活用することで、税金の軽減や定期的な収入を得ることができるでしょう。

 

空き家の所有者としてどのような対策を取るべきか悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

この記事を書いた人

DAINICHI 編集部 不動産チーム

DAINICHI 編集部 不動産チームは社内外の有識者により構成されています。不動産の投資、管理、運用、リノベーション、売却、有効活用などの方法について、様々な視点から不動産に関する有益な情報をお伝えします。

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