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⼤規模修繕

賃貸住宅のオーナーなら知っておきたい「大規模修繕」⑤大規模修繕で行う外壁塗装の耐用年数とは?塗料・外壁材別に解説

大規模修繕の中でも、重要な工事の一つである外壁塗装工事をする際に、「外壁塗装はどれくらい耐久性のあるものなのか?」と疑問を頂く方は多いです。

 

しかし、外壁塗装の塗料の種類は多数あり耐用年数や特徴が大きく異なるため、一概に何年と言えるものではありませんし、耐用年数が長いからといって最適な塗料とも限りません。

 

所有する不動産にとって最適な外壁塗装工事をするためには、塗料の種類毎の耐用年数や、特徴をよく理解することが重要です。

 

そのため、この記事では、外壁塗装の耐用年数、塗料の種類や特徴などについて詳しく解説していきます。

 

最後まで読んで、外壁塗装工事を検討する際の参考にしてみてください。

そもそも耐用年数とは

外壁塗装における「耐用年数」とは、塗装を行ってから次に塗り替えが必要になるまでの期間のことです。塗料を開発したメーカーが耐久テストを実施して、塗料の効果が「どの程度の期間、適切な効果を発揮できるか」を確かめて公表しているものになります。

 

ただし、あくまでメーカーが公表している期間は、実験機を使用して計算したものであるため、実際の環境下で起こり得る紫外線や風雨などを考慮されていないものも多いです。

 

このため、必ずしも正確な数値であるとは言えません。

したがって、これから紹介する外壁塗装の耐用年数は、あくまで目安として捉えて、環境によって大きく左右されることを覚えておくようにしましょう。

塗料別の耐用年数

塗料別の耐用年数や単価を以下の表にまとめたので、確認してください。

 

種類耐用年数1㎡あたりの単価
アクリル 4〜8年 1,400~1,600円
ウレタン 7~10年 1,700~2,200円
シリコン 7~15年 2,300~3,000円
ラジカル制御 12~16年 2,500~3,000円
フッ素 15~20年 3,800~4,800円
無機 20~25年 4,500~5,500円
光触媒 15~20年 4,500~5,500円

 

ここでは、それぞれの塗料のメリットやデメリットなどを、詳しく紹介していきます。

 

 

アクリル塗料

アクリル塗料は他の塗料と比較して取り扱いが簡単で、単価も安い塗料です。

しかし、耐用年数が4~8年程度と短いため、最近はあまり使用されなくなってきています。

 

【メリット】

・色の再現性が高く色の種類が豊富である。

・塗料が安価であるため施工費用を抑えることができる。

・浸透性が高く湿気を透過するため軒天上などに向いている。

【デメリット】

・耐用年数が短いため耐久性が低く、近年は外壁塗装の塗料として使用されることが少ない。

・施工費用自体は安価ではあるが耐久性が低いため、頻繁にメンテナンスが必要になり、コストパフォーマンスが良くない。

 

 

ウレタン塗料

ウレタン塗料は耐久性と価格のバランスが良い塗料です。

耐用年数が7~10年程度あり、価格も他の塗料と比較して高いものではありません。

ただし、最近はより耐用年数が長い「シリコン塗料」の使用頻度が高くなってきているため、アクリル塗料と同様に最近はあまり使用されていない塗料です。

 

【メリット】

・アクリル塗料よりも耐久性が安定している。

・多くのメーカーが商品を出しているため色の種類が豊富である。

・費用も高額ではなく、ある程度は耐久性もあるためコストパフォーマンスが良い。

【デメリット】

・より耐久性の高い塗料が普及してきたため耐久性が高いグレードではなくなった。

・塗料の性質上汚れに弱く、他の塗料と比較して色褪せが早い。

 

 

シリコン塗料

シリコン塗料は耐用年数が7〜15年と長く、価格も比較的安価であるため、現在普及している塗料の中で最もバランスの良い塗料です。そのため、住宅塗装で最も使用されている塗料になります。

 

【メリット】

・価格と耐用年数のバランスが良い。

・水性1液型、水性2液型、溶材液1液型、溶材液2液型という4つの種類があり、種類が豊富である。

・耐汚染性があるため、汚れがつきにくい。

【デメリット】

・他の塗料と比較して弾性が低いため、ひび割れがしやすい。(特に耐用年数の10年を超えるとひび割れる可能性が高い)

・他の塗料よりも付着性が低いため扱いづらい。

 

 

ラジカル制御塗料

ラジカル塗料は、ラジカルの発生を抑えることができる塗料で、耐用年数は12〜16年と耐久性が高いのが特徴です。

ちなみに、ラジカルとは酸化チタンが紫外線や水などの影響によって発生させる劣化因子で、塗料の劣化を進める原因になります。

塗膜樹脂が傷つきチョーキング現象(外壁を触ったときに白い粉がつく現象)が発生するのも、このラジカルが一因です。

 

【メリット】

・チョーキング現象が起きにくい。

・汚れがつきにくい。

・耐用年数と価格のバランスが良い。

・どの下地とも相性が良い。

【デメリット】

・ブラックやネイビーといった濃い色だと効果が発揮できない。

・新しい塗料のため製品数が少なく実績が少ないので、実際の耐用年数がわかりにくい。

 

 

フッ素塗料

フッ素塗料は蛍石を原料にしたフッ素と合成樹脂を配合した塗料です。

耐用年数は15〜20年と非常に高い耐久性を持っており、紫外線にも強く汚れにも強い特徴があります。

そのため、東京スカイツリーのように頻繁に塗装し直すことができない建築物に使用されることが多いです。

 

【メリット】

・耐久性が高くマンションなどの大規模な建築物に向いている。

・親水性が高く汚れやほこりがついても雨で洗い流すことができる。

・紫外線に強いため耐候性が高い。

・防カビ性も高い。

【デメリット】

・親水性が高いためつや消しはできない。

・他の塗料と比較して塗膜が硬いため、ひび割れしやすい。

 

 

無機塗料

無機塗料とは塗料の原料に無機物を加えて配合した塗料で、耐用年数が20〜25年と塗料の中で最も耐久性が高い塗料です。

ちなみに、無機物とは炭素をふくまない物質のことで、無機物が含まれることで紫外線に強く耐久性が高くなります。

 

【メリット】

・現在販売している塗料の中で最も耐久性が高い。

・親水性が高いため雨によって汚れを洗い流せる。

 

【デメリット】

・親水性が高いためつや消しはできない。

・他の塗料と比較して塗膜が硬いためひび割れしやすい。

・価格が高い。

 

 

光触媒塗料

光触媒塗料は酸化チタンを原料にした塗料で、セルフクリーニング機能を持った塗料になります。耐用年数も15〜20年と長いのですが、主流だった塗料の販売が停止されたため、現在はあまり使用されていません。

 

【メリット】

・セルフクリーニングによって汚れを雨で洗い流せる。

・防カビ効果が期待できる。

・遮熱効果がある。

【デメリット】

・紫外線と雨を利用して汚れを落とすため紫外線が当たらない場所の汚れは落ちにくい。

・他の塗料と比較して施工が難しいため施工不良が起きやすい。

・工期が長い。

・種類が少ない。

外壁材別の耐用年数

大規模修繕を行う際は、外壁塗装以外にも外壁材の耐用年数についても、理解しておくことが重要になります。基本的に外壁材の耐用年数は30年以上であるため、1回目や2回目の大規模修繕では修繕が必要ない可能性が高いですが、長期の不動産経営を行う場合には、修繕が必要になる可能性が高いためです。

 

種類耐用年数1㎡あたりの単価
モルタル壁 30年程度 8〜10年
窯業系サイディング 40年程度 7〜8年
金属系サイディング 40年程度 10〜15年
ALC壁 40年程度 10〜15年
コンクリート壁 60〜100年程度 10〜15年

 

よく使用されている外壁材の耐用年数やメンテナンス周期について、下記にまとめたので確認してみてください。

 

 

モルタル壁

モルタル壁は水と砂、セメントを混ぜてできるモルタルを塗った外壁材のことです。

耐用年数は30年程度といわれています。

なお、メンテナンス周期は8~10年が推奨され、メンテナンスを行うことで長く耐久性を保つことができます。

 

 

窯業系サイディング

窯業系サイディングはセメントに繊維質を混ぜて、板状にした外壁材のことです。機能性やデザイン性に優れており、国内でも多く利用されています。

耐用年数は、40年程度といわれており、7〜8年ごとにメンテナンスを行うことで、良い状態を維持することが可能です。

ちなみに、サイディングには、窯業系以外にも樹脂系、木質系、金属系の種類もあります。

 

 

金属系サイディング

金属系サイディングは金属の素材で作成された外壁材で、トタン製やガルバリウム鋼板製のものがあります。金属製であるため防水性が高いうえに衝撃にも強いため、他のサイディング系と比較してメンテナンス時期が遅いのが特徴です。

なお、耐用年数は40年程度で、10〜15年周期でメンテナンスが必要になります。

 

 

ALC壁

ALC壁とは、セメントや生石灰、珪石などを主原料として、高温高圧蒸気養生した軽量気泡コンクリートです。住宅以外にもビルや倉庫、ショッピングセンターなど多くの建物で利用されています。

耐用年数は、40年程度といわれており、10〜15年周期でメンテナンスが必要です。

 

 

コンクリート壁

コンクリート壁は名前のとおり、コンクリートを壁にした外壁材です。耐震性や耐火性に優れている反面、断熱処理をしていないと外気の影響を受けやすい特徴があります。

耐用年数は60〜100年程度と長く、10〜15年周期でメンテナンスが必要です。

耐用年数が過ぎたときに必要な工事とは

建物診断などを実施せずに放置をしてしまったがために、外壁塗装の耐用年数が過ぎてしまった場合には、塗装の塗り替えだけでなく、他の補修工事が必要になる可能性が高くなります。外壁塗装が効果を発揮しない状態で放置してしまったことで、外壁自体が劣化してしまう可能性が高いためです。

 

ただし、状態によっては必要がない工事もあるため、どのような状態でどういった補修工事が必要なのかを理解しておきましょう。

 

 

塗料の塗り替え

 

外壁塗装の耐用年数が過ぎてしまっている場合に必要な工事が、外壁塗装の塗り替えになります。耐用年数を過ぎてしまい、塗装が適切な効果を発揮できていないと、外壁材事態にダメージを与えてしまうためです。

 

外壁材が傷んでしまい修繕が必要になると、莫大な修繕費用が必要になるため、耐用年数を過ぎてしまったと気がついた時点で、すぐに工事を行うことが重要になります。

 

 

外壁材の交換

 

外壁塗装の耐用年数が過ぎた状態で放置したことにより、外壁材にひび割れや剥がれが発生していた場合には、外壁材を交換することが必要になります。

 

外壁材自体が損傷していると、外壁塗装の塗り替えでは対応できず、外壁材の張り替えをしなければならないためです。

 

ひび割れや剥がれは深刻な劣化を起こしている状態で放置しておくと、建物の劣化が進むうえに、雨漏りやカビの原因にもなってしまうため、早急に外壁材の検討をするようにしましょう。

耐用年数が過ぎたかどうかの判断基準

外壁塗装の耐用年数が過ぎているかどうかを、判断するための基準や手段を理解しておくことは、非常に重要になります。外壁塗装の劣化状態を判断できなければ、長期修繕計画で予定していた時期よりも早く外壁が劣化していたとしても、気付くことが出来ないためです。

 

仮に劣化が進んでいることに気づかずに放置してしまうと、外壁の劣化が進み、より大掛かりな修繕工事をしないといけない事態になりかねません。

 

こういった事態を防ぐためにも、外壁塗装の劣化状況を判断するためのポイントを理解しておくことが重要です。

 

 

経過年数で判断する

 

まず、最も簡単な方法は、経過年数から外壁塗装の状態を予測する方法になります。外壁塗装の耐用年数の目安は10年と言われており、前回の外壁塗装から10年経っている場合は、確認が必要です。

 

ただし、前項で紹介したように、外壁塗装の種類によって耐用年数が違うため、所有している不動産が、どの種類の外壁塗装をしているかを把握したうえで、目安とする経過年数を変える必要があります。

 

なお、耐用年数の目安が10年と言われている理由は、以前によく使用されていた塗料が「シリコン塗料」や「ウレタン塗料」が多かったためです。

 

 

劣化症状で判断する

 

外壁の劣化状態で判断する方法は、経過年数で判断するよりも正確に外壁塗装の状況を見極めることができます。ただし、目視や外壁に触れることで、劣化状態を判断するため、劣化状態を判断するための知識が必要です。

 

では、どういった症状があったら外壁塗装が劣化しているといえるのでしょうか?

それは以下のポイントから判断します。

 

  • チョーキング:外壁を触った際に白い粉がつく現象のこと。放置すると下地材の劣化が進み、建物の耐久性が悪化する。
  • カビ:外壁塗装の表面が水分を含むようになって発生する。放置をすると住民の健康を害する恐れがある。
  • 外壁の退色:紫外線によって塗料が劣化して元の色から変化している状態。見た目がわるくなり汚く見えるため入居者が集まりにくくなる。
  • ひび割れ:外壁材や塗料にひびが入って割れている状態。放置すると雨漏りやカビの発生原因になり、シロアリが発生する可能性が高くなる。
  • ふくれ:外壁塗装がふくれている状態。放置すると剥がれになる。
  • 剥がれ:外壁塗装が剥がれており、外壁材が露出している状態。外壁内部に水が侵入して腐敗が進行する可能性がある。

 

上記の劣化状態の中には自身で判断できないものもあるため、外壁の状態が気になった場合には、建物診断などを行って専門家に判断してもらうことをおすすめします。

耐用年数を長く保つには

大規模修繕で外壁塗装を行った際、3つのポイントを押さえておくことで、外壁塗装の耐用年数が長くなり、次回の大規模修繕まで外壁塗装の耐用年数を延ばすことができます。

 

環境など様々な要因によって耐用年数が変わるため、必ずしも最大の耐用年数まで外壁塗装を維持できるわけではありませんが、耐用年数を長く保つコツを実践した場合と実践していない場合では耐用年数が変わってきますので、確認するようにしてください。

 

 

耐用年数が長い塗料を選ぶ

 

耐用年数の長い外壁塗装を選んで施工することで、当然ですが耐用年数を長く保つことが出来ます。

中でも、「フッ素塗料」は耐用年数が長く、信頼性も高いためおすすめです。

 

ちなみに、「フッ素塗料」以外にも、「無機塗料」、「光触媒塗料」なども耐用年数が長い塗料ではありますが、これらの塗料は費用が高く、信頼性も「フッ素塗料」よりは劣るため、注意が必要です。

 

とはいえ、それぞれ他には無い特徴を持っている塗料ではあるため、特徴をよく理解したうえでご自身の不動産に適しているなら、使用するようにしてください。

 

 

信頼できる業者を選ぶ

 

信頼できる業者を選ぶことも、外壁塗装の耐用年数を長く保つためのポイントになります。業者によっては規定の塗布量を守らず、塗料をすごく薄めて塗装をしたり、下塗りを丁寧にしない悪質な業者があるためです。

 

このため、以下のポイントを確認して、信頼できる業者かどうかを見極めるようにしましょう。

 

  • 大規模修繕で外壁塗装の実績を確認する
  • 資本金が豊富な会社に依頼をする
  • 複数の会社に依頼をして担当者の対応が迅速かを確認する

 

なお、上記のポイントについては、依頼をする業者のホームページで確認できることが多いです。

 

 

3回以上外壁を塗装してもらう

 

一般的に、外壁塗装の塗り回数は3回といわれています。3回以上外壁を塗装してもらうことで、丈夫な塗膜が作られるため耐用年数を向上させることが可能です。

 

ただし、塗料の種類や外壁の状態によって塗り回数を増やすことで逆に状態が悪くなるケースもあり、必ずしも塗り回数を増やすことで耐用年数を長く保てるわけではありません。

 

適切な塗り回数を判断するためには高い塗装技術が必要なため、塗り回数を増やしてほしいと依頼する場合には、実績のある業者に依頼するようにしましょう。

外壁を塗り替えるメリット

外壁を塗り替えることは、不動産経営においてメリットが多いです。このため、大規模修繕で外壁塗装が必要と判断された場合には、施工することをおすすめします。

 

そこでここでは外壁塗装のメリットを紹介していきます。

 

 

建物を長く良い状態で保てる

 

外壁塗装の最大のメリットは、長く建物を良い状態で保てることです。雨などから建物を守ってくれるため、建物が劣化しにくくなります。

 

ただし、塗料の種類や耐用年数に合わせ、適切な頻度で塗装工事を実施しなければ、建物を長く良い状態で維持することはできないため、ただ工事を行えばいいわけではありません。このため、外壁塗装を依頼するタイミングや業者選びは慎重に行うようにしてください。

 

 

入居率が上がる

 

外壁塗装を行うもう一つのメリットが入居率の向上です。外壁が塗装されることで見た目が美しくなり、建物がよく見えるため、入居率の向上が見込めます。

 

とはいえ、外壁塗装しただけで、大幅に入居率が上がるわけではありません。外壁塗装だけでなく設備なども新しくすることで、より良い賃貸物件になり、さらなる入居率の向上が見込めます。

大規模修繕で外壁塗装をする際は耐用年数について理解しておく

大規模修繕でも重要な施工である外壁塗装工事は、塗料によって耐用年数や特徴の違いがあるため、違いを理解しておくことが重要になります。違いを理解することで、大規模修繕の最適な時期に最適な外壁塗装工事を行うことができるためです。

 

とはいえ、どの塗料が自身の不動産に向いており、どのタイミングで外壁塗装を行うべきなのかを、素人が見極めることは容易ではありません。このため、信頼できる専門家に相談して実施することをおすすめします。

ダイニチの⼤規模修繕について

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